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2016.03.23 Wed
イギリスの新しい国際的役割とは
―― 衰退トレンドを克服するビジョンを
世界は、大国としてのイギリスの時代が終わっていることを知っている。イギリスの衰退を覆すには、過去を前提にするのではなく、未来から現在を捉える必要がある。ロンドンは、イギリスのことを「グローバル化を促進するとともに、その問題に対処していくことを目的とする思想と議論を提供し、橋渡し役を担う存在にすること」を考えるべきだろう。(マーチン)
1962年、ディーン・アチソン米国務長官は、「帝国を失ったイギリスは、まだ新しい役割を見つけていない」と指摘したが、現在のイギリスは、国際問題への関与にさらに消極的になっている。・・問題は現在のようにイギリスがEUにおけるリーダーシップをとることを躊躇し続ければ、EUはますます非効率的になり、イギリスではEU脱退論がますます強くなり、悪循環に陥ってしまうことだ。(メノン)
「外交的なメタファーで言えば、現在のイギリスは、米ソが対立していた冷戦期のドイツ、米中対立のなかの日本のような存在だ。ヨーロッパで起きていること(銀行同盟・財政同盟)に引き込まれてもかまわないと思うほどに近い関係にあるわけではないが、流れから取り残されてもかまわないと思えるほどに遠い存在でもない」。(A・ポーゼン)
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イギリスの新しい国際的役割とは
―― 衰退トレンドを克服するビジョンを2016年3月 ピーター・マーチン APCOワールドワイド アソシエート・ディレクター
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引き籠もるイギリスと欧州連合
―― EUもイギリスも衰退する2015年11月号 アナンド・メノン キングス・カレッジ・ロンドン教授(ヨーロッパ政治・外交)
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イギリスがEUから脱退すれば
―― ヨーロッパもイギリスも敗者となる2013年8月号 ◎スピーカー チャールズ・クプチャン 米外交問題評議会シニア・フェロー、アダム・ポーゼン ピーターソン国際経済研究所所長、◎プレサイダー マイケル・モセティッグ PBSニュースアワー
2016年 3月号から
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長期停滞にどう向き合うか
―― 金融政策の限界と財政政策の役割長期停滞論の見方に従えば、先進国経済は、貯蓄性向が増大し、投資性向が低下していることに派生する不均衡に苦しんでいる。
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中国経済のメルトダウンは近い
―― 中国経済はまったく成長していない中国経済の成長率は3%かそれを下回っているかもしれない。そして政府の赤字財政支出は、実際には間違いなくGDPの3%を超えている。
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近代化と格差を考える
―― 再び格差問題を政治課題の中枢に据えるには再分配政策の政治的支持基盤は形骸化し、経済的格差が再び拡大し始めた。いまや対立の構図は労働者階級と中産階級ではない。「一握りの超エリート層とその他」の対立だ。