Focal Points

ID1974 / Shutterstock.com

2016.03.17 Thu

なぜロシアはシリアからの軍撤収を決めたのか
―― 軍事紛争から外交へと流れを変えるチャンスか

撤収の決定はたんなる資金節約のためではないはずだ。ロシアのシリア介入コストは、年間10-20億ドル程度で、途方もない金額に達していたわけではない。だがより重要なのは、今なら、プーチンが中東の泥沼に引きずり込まれるリスクを冒すことなく、勝利を宣言できることだ。(マーチン&メノン)

ロシアによるグルジアとウクライナでの戦争、そしてクリミアの編入は、「ポスト冷戦ヨーロッパの安全保障構造から自国が締め出されている現状」に対するモスクワなりの答えだった。一方、シリア紛争への介入は「中東におけるロシアの影響力を再生する」というより大きな目的を見据えた行動だ。(ステント)

シリアを安定化させて、ロシアの地域的プレゼンスを維持できるようにすることを、モスクワはおそらく介入の最終目的に据えている。問題は、イスラム国に対する作戦を開始した当初は、この同盟勢力間の連帯を維持できても、作戦が長期化し、特にアサドが支配する地域の安定化が実現すれば、同盟勢力の利益認識が次第に分裂し始めると考えられることだ。(アダムスキー)

論文データベース

カスタマーサービス

平日10:00〜17:00

  • FAX03-5815-7153
  • general@foreignaffairsj.co.jp

Page Top