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― イランの核開発に関する論文

中東における全面戦争のリスク
―― 何が起きても不思議はない

2020年1月号

ロバート・マレー 国際危機グループ(ICG) プレジデント

中東のいかなる地域における衝突も中東全体を紛争に巻き込む引き金になる恐れがある。一つの危機をどうにか封じ込めても、それが無駄な努力になる危険が高まっているのはこのためだ。しかも、国家構造が弱く、非国家アクターが大きな力をもち、数多くの大きな変化が同時多発的に進行している。イスラエルと敵対勢力、イランとサウジ、そしてスンニ派の内部分裂が存在し、これらが交差するだけでなく、ローカルな対立と絡み合っている。「サウジに味方をすることは、(イエメンの)フーシに反対するということであり、それはイランを敵に回すことを意味する」。こうしたリンケージが入り乱れている。ワシントンが中東から撤退するという戦略的選択をしようがしまいが、結局、アメリカはほぼ確実に紛争に巻き込まれていく。

永続化するか、イスラエルとアラブの雪解け
―― そのポテンシャルと限界

2019年10月号

ヨエル・グザンスキー 国家安全保障研究所 シニアフェロー ダニエル・B・シャピロ 元駐イスラエル米大使

イランを共通の脅威とみなすイスラエルと湾岸諸国の関係はかつてなく良好な状態にある。ともに、「2015年のイラン核合意は核領域でのテヘランの長期的な野心や能力を封じることなく、結局はその攻撃的な行動を高めただけだ」という見方を共有し、トランプ政権のより対決的なアプローチを歓迎している。イスラエルの国防担当高官は、「イランとの戦いをめぐって、イスラエルがサウジと情報共有をすることもできる」とさえ述べている。リヤドもイスラエルとの関係正常化に前向きのようだ。しかし、アラブ大衆のイスラエルへのイメージは大きく変化しているわけではなく、王室内にも伝統的路線にこだわる勢力もいる。・・・

核をめぐるイランの立場
―― 問題を作り出したトランプは何をすべきか

2019年9月号

サイード・ホセイン・ムサビアン 元イラン核交渉チームメンバー

この2年にわたって、国連と国際原子力機関(IAEA)が、「イランが核合意で規定された条件を守っていること」を示す15の報告書を出してきたにもかかわらず、アメリカは経済制裁を再発動し、敵対的なレトリックでイランを攻撃している。イラン人は、合意を守らなかったのはアメリカで、イラン政府ではないと信じている。仮にテヘランが核合意や核不拡散条約(NPT)から離脱しても、最高指導者ハメネイのファトワ(宗教令)がイランの核開発を阻むことになる。2003年にハメネイは核兵器の所有と蓄積をファトワで公式に禁止している。イランとの交渉を望むと繰り返し発言しているトランプにその気があれば、最高指導者のファトワを基盤に包括的な合意をまとめる外交交渉の道は依然として残されている。

CFR Blog
イランと石油の地政学

2019年8月号

エイミー・M・ジャッフェ 米外交問題評議会シニアフェロー(エネルギー担当)

石油輸出国機構(OPEC)でのイランの影響力は低下し、原油の生産能力も低下しつつある。湾岸の産油国がロシアとの関係強化を模索しているのは、減産で原油価格を維持していくためだけでなく、ロシアとイランの間に楔を打ち込むという地政学的利益が期待できるからだ。一方、イランは、「資源ツールを越えた交渉カード」をもっていることを世界に示そうと、北朝鮮をモデルに、核開発プログラムを前倒しで再開するかもしれないし、それでもうまくいかなければ、(誰による仕業か分からない)グレーゾーンでのアラブ産油国のエネルギー施設への攻撃を続けるかもしれない。しかし、依然として外交路線を模索する可能性も残されている。現在のイランにとって本当の教訓とすべきなのが、北朝鮮ではなく、「政治腐敗、生産施設のメンテへの投資不足、外国投資の引き揚げによってその石油産業が機能不全に陥っている」ベネズエラかもしれないからだ。・・・

制御不能な戦争
―― イランとの衝突は瞬く間に地域紛争へ拡大する

2019年8月号

イラン・ゴールデンバーグ 新アメリカ安全保障センター 中東安全保障プログラムディレクター

関係プレイヤーのなかに戦争を望んでいる者はいないが、それでも戦争になりかねない。アメリカとイランの局地戦は、スンニ派の湾岸諸国やイスラエル、一方でイランの同盟勢力であるイラク、レバノン、アフガニスタン、イエメン、シリアのシーア派を巻き込んだ地域紛争に瞬く間に拡大する。イランはホルムズ海峡を脅かし、世界の原油価格を高騰させる。大がかりな作戦が終わっても、紛争は続き、イランの傀儡勢力は、中東における米軍やそのパートナーを長期的に攻撃し続ける。イランから流出する難民が作り出す危機の地域的な不安定化作用がどのようなものになるかも考えなければならない。トランプ政権とイスラム共和国はもっと慎重になる必要がある。そうしない限り、両国は、瞬く間に制御不能となる危険で大きなコストを強いられる渦に巻き込まれるはずだ。

トランプ外交は誰を追い込んだのか
―― イラン、中国、北朝鮮それともアメリカ

2019年7月号

フィリップ・ゴードン 米外交問題評議会 シニアフェロー(米外交政策担当)

威嚇、経済制裁、大言壮語で敵対勢力が譲歩するか、より優れた取引を手に入れられると期待するのがトランプの外交パターンだ。そうした戦術が何を引き起こすかを想定できず、逃げ場のない袋小路に自らを追い込むのもパターン化している。イランだけでなく、ベネズエラのケースでも「後退か軍事力行使」が残された選択肢となりつつあるし、中国と北朝鮮へのアプローチも同様に袋小路に追い込まれつつある。一方で、トランプが「戦争は望んでいない」とペンタゴンの高官に述べたとすれば、おそらく、彼はアメリカが不用意に紛争に巻き込まれていくリスクを予見し、それを回避したいと考えているのかもしれない。問題は、戦争を回避するのを助けてきた側近たちがもはやいないことだ。

三つの核危機シナリオ
―― 北朝鮮、ロシア、イランに対する間違った戦略

2019年3月号

ニコラス・J・ミラー ダートマスカレッジ アシスタント・プロフェサー(政治学)
ビピン・ナラン マサチューセッツ工科大学准教授(政治学)

北朝鮮による一方的核放棄というフィクションを維持し、北朝鮮の核・ミサイル実験の再開を阻止するために、トランプは金に譲歩して、一部の制裁緩和、あるいは和平合意に向けたプレリュードとしての米軍の地域的プレゼンスの再編に応じるかもしれない。これによって現状は続き、問題は先送りされる。だが、北朝鮮の核開発という現実を否定することに依存する戦略は、いずれ内側あるいは外側から破綻して暴走し始め、これが北朝鮮との新たな核危機につながっていくリスクがある。一方、INF条約からの離脱でロシアとの軍拡競争が過熱していくのも、アメリカの核合意から離脱によって、イランが核開発に立ち返り、緊張が高まるのもおそらく避けられないだろう。下手をすると、世界は三つの核危機に直面する恐れがある。

トランプ・ドクトリン
―― 対イラン経済制裁への参加がなぜ必要か

2018年11月号

マイク・R・ポンペオ 米国務長官

トランプ大統領が引き継いだのは、第一次世界大戦や第二次世界大戦前夜、あるいは冷戦のピーク時に匹敵する危険な世界だ。しかし、先ず北朝鮮に、そして現在はイランに対して大統領がみせている破壊的なまでの大胆さは、明確で強い信念と、核不拡散と強力な同盟関係を重視する姿勢を組み合わせれば、いかに多くのことを成し遂げられるかを示している。・・・率直な態度は交渉を妨げるという、古臭い思い込みにとらわれている人々も、ターゲットを絞り込んだレトリック、現実的な圧力行使策が、アウトロー国家を変化させ、現在も変化させつつあることを認めるべきだ。・・・われわれは、(イランとの)戦争は望んでない。しかし事態をエスカレートさせれば、イランの敗北に終わることを、われわれは明白にしておく必要がある。

イラン制裁が同盟関係を揺るがす
―― 同盟関係の動揺と米中関係の行方

2018年10月号

ピーター・ハレル 新アメリカ安全保障センター シニアフェロー(非常勤)

イランに対するトランプの強硬なアプローチは、経済制裁を求めるアメリカの圧力から自国の企業をどのようにして守るかについて、欧州連合(EU)内、そして世界での長期的議論を喚起することになるかもしれない。すでにヨーロッパは具体的な動きをみせている。最大のイラン石油の輸入国である中国はこの問題をより広範な米中貿易関係の緊張の高まりという枠組みに位置づけて判断することを決めている。北朝鮮の核の脅威や中国の強硬路線に対処していくためにアメリカの支援を必要とする日本と韓国は、イラン制裁への参加を回避したいと望みつつも、トランプとの間で大きな対立を抱え込むことを望んでいない。イラン制裁が実現しても、その後、ワシントンは同盟関係の修復に取り組まざるを得なくなるだろう。

イランの孤立と米シリア戦略
―― なぜ親アサド同盟は分裂したか

2018年7月号

イラン・ゴールドバーグ センター・フォー・アメリカン・センチュリー シニアフェロー(中東安全保障プログラム)
ニコラス・A・ヘラス センター・フォー・アメリカン・センチュリー  フェロー

ロシアはアサドが権力を維持できるように支えてきたが、アサド政権にとってもっとも重要な同盟相手のイランは介入を利用して、シリアでの永続的な軍事的プレゼンスを確保するのが狙いだった。イランが大がかりに介入したことで、シリアの戦況は大きく塗り替えられたが、現在のイランはシリア国内に展開する軍事力をテコに、イスラエルに軍事的圧力をかけようと試みている。こうしたイスラエルとの対決路線を重視するイランの路線が、アサドを支える他の国際プレイヤーとの軋轢を生み出している。シリアの統治体制を固めていくにつれて、アサドそしてロシアを含むアサドを支援する勢力は、大統領としてのアサドのプレゼンスを正常化し、再建に向けた資金を確保しようと試みており、イスラエルとの戦争は望んでいないからだ。

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