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歴史認識と国際政治に関する論文

ネタニヤフが示した司法改革法案によって、ガザ戦争前の段階で、イスラエル国家は分裂しかねない状況に追い込まれていた。戦争が終われば、この国内状況が再び出現するだろう。パレスチナをめぐっては、ネタニヤフのように「パレスチナを永遠に占領できる」と考えるのか、それとも「共存が必要」とみなすかが、今後問われることになる。「紛争管理」と「草刈り」が今後もパレスチナ問題に対処する政策であるなら、占領、入植政策、強制退去がさらに続く。しかし、このやり方は、さらなる大惨事を招き入れるだけだ。安心して生活し、尊重し合える共存を望むのなら、イスラエルはパレスチナ人に手を差し伸べ、ともに協力していかなければならない。

共和党の国際主義と外交戦略
―― 軍事・貿易・経済戦略をどう立て直すか

2024年3月号

コリ・シェイク アメリカン・エンタープライズ研究所 ディレクター

共和党支持者がもっとも懸念する「経済的な不安」を引き起こしているのは、バイデン政権の政策だ。その保護主義的な理論とアプローチはインフレを煽り、市場を歪め、貿易を抑え込み、アメリカの同盟国をいらだたせている。共和党支持者は、中国に世界のルールを決めさせれば、米企業は不利な状況に追い込まれ、同盟国が脆弱な状況に置かれることを理解している。軍事予算の増大も、移民政策の見直しも必要だし、中国への依存を減らし、それでも繁栄を維持できる経済戦略が求められている。必要なのは、世界で何が起きているのか、そして共和党がどのように国を守り、繁栄を維持していくつもりなのかについての理論を有権者に明確に示すことだ。

自己を見失った超大国
―― 自ら築いた世界に背を向けるのか

2024年2月号

ファリード・ザカリア 国際政治分析者

アメリカがデザインした「ルールに基づく国際秩序」に対する憂慮すべき障害を作り出しているのは、中国でもロシアでもイランでもない。それは、アメリカに他ならない。アメリカが、自国の衰退に対する誇張された不安に駆られて、国際政治における指導的役割から後退すれば、世界で力の空白が生じ、さまざまな国やプレーヤーが混乱に足を踏み入れようとするだろう。すでに、ポスト・アメリカ世界がどのようなものかをわれわれは中東で目の当たりにしている。ヨーロッパとアジアで同じようなことが起こることを想像してほしい。しかも、この場合、地域的国家ではなく、世界の大国が混乱を引き起こし、世界的に大きな衝撃がはしることになる。・・・

プーチンの立場が欧米の右派のそれと似ているのは偶然ではない。実際、プーチンのアドバイザーたちは、フォックス・ニュースのキャスターなど、米保守の扇動者たちの立場やレトリックを採用している。特に、文化戦争路線を取り入れることで、ワシントンなどのポピュリスト政治家の支持を確保し、欧米社会を内部から切り崩せると考えているようだ。欧米保守派のレトリックを受け入れることで、彼らの支持を確保し、それを基盤にロシアの国際的地位を向上させたいとプーチンは考えている。要するに、20世紀前半にソビエト革命を推進した共産主義インターナショナルに似た、「極右インターナショナル」を形成しつつある。

スマートな指導者がなぜ愚かな判断をするのか
―― 外交政策は合理的か

2024年1月号

カレン・ヤルヒ=マイロ コロンビア大学教授(国際関係論)

リアリストが考えるように、国の外交決定の多くは合理的なのだろうか。指導者にとって合理的なことが、なぜ国にとっても合理的とみなせるのか。指導者の判断は、感情や心理、歴史にも大きな影響を受けるのではないか。実際には、選択によって問われているものが大きいからこそ、大国とその気まぐれな指導者は計算を誤ったり、不合理で神経質な行動をとったりするのではないか。ワシントンは、北京にどう対処すべきか考えるとき、この事実を忘れるべきではない。プーチンのウクライナに関する決断同様に、習近平は自らの目標が達成不可能であることを示唆するエビデンス、行動のコストが途方もなく高くなることを示唆するエビデンスを無視する危険がある。・・・

プーチン独裁と大衆の無関心
―― 終わらない戦争とロシアの日常

2024年1月号

アンドレイ・コレスニコフ カーネギー・ロシア・ユーラシアセンター シニアフェロー

モスクワは、大多数の人々が、ウクライナ戦争を含む政府の選択に無関心であり続けることを望んでいる。そして人々は、上から押しつけられた世界の現実を受け入れる方が気が楽だと感じている。和平交渉開始を支持する人も増えているが、彼らは見返りを求めている。征服した「新しい」領土を維持するか、モスクワに「返還されるべきだ」と考えている。ウクライナ戦争を欧米に対する多面的戦争に再構築したプーチンは、欧米との生き残りを賭けた「再戦」まで考えている。一方、ロシア民衆は、大統領選挙の投票用紙で相対的な平穏を買えると考えている。ただし、プーチンがその約束を守るという保証はない。・・・

本当の対中抑止力とは
―― 米台が中国を安心させるべき理由

2024年1月号

ボニー・S・グレーザー 米ジャーマン・マーシャル財団 マネージングディレクター
ジェシカ・チェン・ワイス コーネル大学 教授(中国・アジア太平洋研究)
トーマス・J・クリステンセン コロンビア大学教授(国際関係論)

「あと一歩踏み込んだら撃つぞ」という警告が抑止のための威嚇になるのは、「踏み込まなければ、撃つことはない」という暗黙の了解が一方に存在するからだ。潜在的な敵を思いとどまらせるには、「保証」を示して、相手を安心させる必要もある。ワシントンと台北は抑止力の強化に努めながらも、武力行使を控えれば、懲罰の対象にはされないと北京を安心させなければならない。一部の米政府高官たちが主張するように、台湾を主権国家として承認し、台湾防衛のための明確な同盟コミットメントを示せば、北京の安心感は損なわれ、抑止力も低下する。この場合、ワシントンが地域的な軍事力強化にいくら力を注いでも、戦争を防ぐことはできなくなるかもしれない。

追い込まれたエルドアン
―― トルコへの毅然たる新アプローチを

2023年11月号

ヘンリ・J・バーキー リーハイ大学教授(国際関係論)

「強い反応を示せば彼の挑発に乗ることにならないか」。ワシントンはこれまでエルドアンの挑発にどう対応するかに苦慮してきた。だが、ますます支離滅裂な即興路線をとり、トルコ経済の運営を見誤ったことで、ついに彼も追い詰められている。ほぼ間違いなく、トルコ経済は、国際通貨基金(IMF)の支援を求めざるを得なくなるし、大惨事を回避するには、アメリカから援助を求めざるを得なくなる。一貫して毅然と行動することで、アメリカはトルコとの新たな関係を築くことができる。イタリアやポルトガルとの関係に近い、正常な関係をトルコとの間で構築しなければならない。そのチャンスをつかむ必要がある。

BBCとイギリスのソフトパワー
―― 政府と国際放送の関係を考える

2023年10月号

サイモン・J・ポッター ブリストル大学教授(現代史)

1927年に開始されたBBC(英国放送協会)ワールド・サービス(国際放送)は、現在も、短波ラジオをデジタルメディアやソーシャルメディア・チャンネルと組み合わせて提供している。だが、BBCが国内で政治的に敵視されているために、イギリスのソフトパワーを長く形作ってきたワールド・サービスは財政危機に直面し、すでに、アジアの言語やアラビア語での放送を打ち切っている。解決策は、ワールド・サービスを国家が直接出資する別組織としてBBCから切り離すことかもしれないが、国営の国際放送など、世界のリスナーにとって魅力的なはずはない。BBCを敵視する国内保守派は、イギリスの重要なソフトパワーツールを危険にさらしていることになる。

民主国家インドという幻想
―― 利益は共有しても、価値は共有していない

2023年9月号

ダニエル・マーキー 米平和研究所 シニアアドバイザー(南アジアプログラム)

アメリカと利益は共有しても、価値は共有していない。いまや、インドは異論をほとんど許容しない民族主義者によって統治されている。「非自由主義的で非民主的な政党」に支配され、その政治力は高まる一方だ。この状況が変わらない限り、アメリカは、日本や韓国、ヨーロッパの北大西洋条約機構(NATO)同盟国と同じようにインドを扱うことはできない。そうではなく、アメリカは、ヨルダン、ベトナム、その他多くの非自由主義的なパートナーのようにインドに接しなければならない。米政府高官は「インドは同盟国ではないこと」を理解しなければならない。

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