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環境とエネルギーに関する論文

CFRインタビュー
世界の石油生産の今後を検証する

2007年12月号

ピーター・J・ロバートソン シェブロン・コーポレーション取締役副会長

サウジを例外とすれば、新たな油田開発や生産施設への投資は進んでおらず、しかも、(油田の劣化に伴って)生産効率が低下してくるため、今後、石油の生産量はおそらく8000万バレルを下回るようになる。だが、世界には十分な天然ガス・石油資源が存在する以上、15年後の原油価格は現在よりも低いレベルで推移していると考えられる。シェブロン・コーポレーションの取締役副会長であるピーター・ロバートソンは、問題は地下の埋蔵量よりも、地上の政治問題にあると強調する。地上での政治情勢、石油をタイミングよく生産できる環境にあるかで生産量は左右されると語った同氏は、今後の資源供給の多くは、需要の増減を別としても、資源へのアクセスを確保できるか、投資が進むかに左右されると指摘し、とりわけ、ロシア、メキシコ、ベネズエラ、クウェート、そして、混乱のなかにあるイラク、イランへの投資・開発環境が整うかどうかで、状況は大きく違ってくるとコメントした。聞き手はリー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアシスタント・エディター)。

論争 トウモロコシは食糧か燃料か

2007年11月号

トム・ダシュル前米上院議員
C・フォード・ランゲ ミネソタ大学応用経済学・法学教授
ベンジャミン・セナウアー ミネソタ大学応用経済学教授

フォーリン・アフェアーズ日本語版2007年5月号の「エタノール燃料は本当に人と地球に優しいのか」で、C・フォード・ランゲとベンジャミン・セナウアーは、原油価格が高騰するなか、世界的に代替燃料として注目を集めているエタノールも、トウモロコシや大豆を原料として生産する限り、食糧としての供給が奪われることになり、世界の穀物供給を連鎖的に逼迫させ、主要産品の価格を高騰させると警告した。「トウモロコシや大豆を原料とするバイオ燃料の需要増によって主要産品の実勢価格が1%上昇するごとに、世界で食糧難に苦しむ人々の数は1600万人ずつ増えていく」と指摘した両氏は、「エタノールを真にグリーンで持続可能な代替燃料とするには、トウモロコシや大豆ではなく、木や草のセルロースからの生産の実用化を期待するしかない」と論文で結論づけている。以下は、トウモロコシからのエタノール生産を推進する立場から、2人の論文への反論を寄せた前米上院議員のトム・ダシュルの議論と、それに対するランゲ、セナウアー両氏の再反論。

CFRディベート
原子力エネルギーは地球温暖化対策の切り札になるか

2007年11月号

マイケル・マリオット 原子力情報資源サービス所長
スティーブ・ケレケス 原子力エネルギー研究所広報部シニア・ディレクター

環境保護派の多くにとって、原子力発電という言葉はいまも呪いの言葉に等しい。彼らの多くは、原子力発電所が環境に与えるダメージをいまも心配している。だがここにきて、地球温暖化対策という新しい基準が政策領域に持ち込まれたことで、環境保護の観点からも二酸化炭素を排出しない原子力発電が見直されつつある。だが、温室効果ガスを排出しないとはいえ、原子力発電には原子炉の安全性、放射性廃棄物、核拡散リスク、コストの問題がともなうと考える専門家もいる。環境をこれ以上汚染せずに、電力の必要性をいかにして満たしていくのか。それは、原子力発電なのか、それとも、同様に温室効果ガスを排出しない風力やソーラー(太陽光)エネルギーなどの再生可能エネルギーなのか。あるいは、原子力と再生可能エネルギーの組み合わせなのか。二人の専門家が議論する、エネルギーと地球環境の将来とは。

中国の環境破壊はなぜとまらないか

2007年10月号

エリザベス・C・エコノミー
米外交問題評議会アジア研究担当ディレクター

中国の指導者は大胆な環境対策の目標を設定し、環境保護に向けた投資を増やすと表明し、企業や地方政府にそれぞれ環境浄化に努めるよう強く求めだしている。国際社会も「北京も環境保護に向けた新たな路線をとりだした」と思い込んでいるようだ。しかし、こうした国際的反応は、「北京が号令をかければ物事が進む」という誤った思い込みを前提にしている。北京は国としての目標は設定できても、政策の実施面を管理しているわけではない。現実には、地方政府が北京の環境保護指令に注意を払うことはめったにない。むしろ、地方政府はもっぱら経済成長のさらなる推進にエネルギーと資源を注ぎ込んでいる。中国の環境保護政策の方向転換を図るには、環境保護に向けた目標を設定したり投資したりするよりもはるかに困難な、抜本的な政治経済制度の改革が最終的には必要になる。

CFRミーティング
エネルギーに関する真実に目を向けよ

2007年9月号

スピーカー
リー・R・レイモンド 全米石油審議会(NPC)理事長
司会
ジョン・ダッチ マサチューセッツ工科大学(MIT)教授

「湾岸諸国の原油増産に世界経済はますます多くを依存していくことになる。サウジの場合は、資源や資源開発の資金だけでなく、サウジ・アラムコという石油企業を持っており、原油の増産は可能だろう。一方、クウェートに増産能力があるかどうかは疑問だ。イラクとイランは、資源開発とは別の次元で問題を抱えている。とはいえ、イラクの場合、サダム・フセインが、当時イラクで活動していた石油開発コンソシアムを国外追放処分にした1971年以降、本格的な石油資源の探索は行われていない。つまり、石油資源という面でイラクはかなりの潜在力を秘めている」

「奇妙なポイントは、車の燃費がよくなればよくなるほど、人々がドライブする走行距離が伸びており、結局、ガソリン消費量には変化が出ないということだ。こうした状況をいかに管理していくかは、政治的に非常に難しい問題だ」(リー・レイモンド)

貧困対策より環境保護を
優先する理由はあるのか
 ――開発、環境、社会正義の連鎖と優先順位

2007年8月号

デビッド・G・ビクター 米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー

経済発展を促進し、環境を保護するとともに、社会正義を実現するという三つの目標は矛盾するものではなく、相互補完的な関係にあるとした「持続可能な開発」の概念はいまや陳腐化してしまった。人権保護団体、環境保護団体、原子力発電企業が、これを、自分たちに都合のよい概念につくり変えただけでなく、国連の場で実現不可能な普遍的アジェンダとされてしまったからだ。持続可能な開発の概念を生き返らせるためには、普遍的アジェンダを掲げるのではなく、優先順位の設定と実施に関する意思決定を各地域の主体に委ねるべきだ。地域の必要性と利益がそれぞれに異なる以上、持続可能な開発を実践する場合は、必ずボトムアップ型のアプローチによる目標の再設定を繰り返していく必要がある。

「2050年までに温室効果ガス排出量を少なくとも半減させることを含む、欧州連合(EU)、カナダ及び日本の決定を真剣に検討する」という最終文書を発表した地球温暖化をテーマとするハイリゲンダム・サミットは一定の成果を上げたと考えられている。だが、本当にそうだろうか。EUや日本と、アメリカの立場には依然として大きな開きがあるし、途上世界における「主要排出国」である中国とインドは、独自の対策は講じるとしても、成長を抑え込むようないかなる多国間排出削減目標にもコミットしないという立場を崩していない。さらに、「持続可能な発展」という文脈からみれば、途上国の貧困対策を押しつぶす形で、「先進国のアジェンダである環境保護政策」を優先すべき理由はないと批判する専門家もいる。排出量削減の数値目標というトップダウン方式を維持していくのか、それとも、普遍的な数値目標を追求するのはやめて、地域に即したボトムアップ方式のアプローチをとるべきなのか。バランスのとれた温暖化対策をとるために克服すべきハードルは数多く残されている。

エタノール燃料は本当に人と地球に優しいのか

2007年5月号

C・フォード・ランゲ ミネソタ大学応用経済学・法学教授
ベンジャミン・セナウアー ミネソタ大学応用経済学教授

原油価格が高いレベルで推移し、一方で環境問題への関心が高まるなか、世界的に代替燃料としてのエタノールが注目を集めている。しかし、トウモロコシや大豆を原料とするエタノール生産は世界の穀物供給を逼迫させ、価格を高騰させている。メキシコのトルティーヤ粉だけでなく、サハラ砂漠以南、その他のアフリカ、アジア、ラテンアメリカの貧困地域の主食であるキャッサバの価格も2010年までに33%、2020年までに135%上昇すると考えられている。バイオ燃料の需要増によって主要産品の実勢価格が1%上昇するごとに、世界で食糧難に苦しむ人々の数は1600万人ずつ増えていく。しかも、栽培・生産のために多くのエネルギーを必要とするトウモロコシや大豆は、環境を汚染する作物だ。エタノールを真にグリーンで持続可能な代替燃料とするには、木や草のセルロースからの生産の実用化を期待するしかない。

CFRインタビュー
ロシアは天然ガス版 OPECの形成を試みているのか

2007年4月号

フィリップ・K・バレジャー PKバレジャーLLC社長

石油や天然ガスを含む資源へのクレムリンのアプローチは一貫している。それは、「資源から最大限の利益を引き出すという重商主義路線」にほかならない。ロシアが天然ガス版のカルテルを短期的に組織することはあり得ないとしても、長期的に考えると天然ガス輸出のカルテルが形成される可能性は高い。状況をこう分析するエネルギー問題の専門家、フィリップ・バレジャーは、「中国への輸出インフラ、ヨーロッパへのさらなる輸出インフラを整備すれば、気に入らない国には供給を止めるなどの資源戦術をロシアはとれるようになる」と指摘する。ヨーロッパにとって、ロシアに代わる供給源はイランしかないが、これは政治的に魅力的な選択肢とはなり得ないとみる同氏は、ヨーロッパが政治的リスクを減らすには、(ロシア、イランの天然ガスを)トルコ経由のパイプライン供給に頼るしかないが、このやり方も、トルコの欧州連合(EU)加盟問題に絡んでくるので、不安定化のリスクを抱えることになると示唆した。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

イランのエネルギー産業はしだいに崩壊しつつある。サウジアラビアに次ぐ世界で2番目に大きな石油資源を持ちながらも、イランはいまや市場へのガソリン供給を配給制に切り替えつつあるし、大規模なインフラ投資を行わない限り、イランの石油輸出は2015年までに停止すると予測する専門家もいる。イランの石油産業が衰退したおもな原因は、石油インフラへの投資不足による油田の老朽化、そして国内での無節操なエネルギー消費を促しているエネルギーへの補助金制度にあるとみる専門家は多い。グローバル市場でのエネルギー価格がしだいに低下していけば、すでに国連の制裁下に置かれて苦しんでいるイラン経済は、政治的余波を伴うような大きな経済的ショックに直面するかもしれない。イラン側は、中国やパキスタンなどとの契約を通じて、投資をてこ入れしようしているが、一方で、国連の経済制裁が効き始めているのも事実だ。石油産業の不振を前にテヘランは核開発にますます力を入れだし、一方、イランは電力生産ではなく、核兵器の開発を目指しているとみる欧米の専門家はますます危機感を募らせている。

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