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― 中国経済の成長とリスクに関する論文

なぜドルは強いのか
―― 堅牢化するドル体制

2024年8月号

エスワール・プラサード ブルッキングス研究所 シニアフェロー

インフレの急進を警戒する内外の投資家が、いずれ、米国債を投げ売りするかもしれない。トランプが再選されれば、アメリカの金融市場とドルへの信頼が低下する恐れもある。しかし、逆説的ながらも、混乱はドルにとって好都合なのだ。経済的・地政学的混乱は安全な投資の魅力を高め、通常、投資家はもっとも信頼できるドルへ回帰する。資本の自由化と政治改革が必要になる人民元の国際通貨戦略を、北京が全面的に認めることはあり得ない。ドル相場を語る上で重要なのは、結局のところ、アメリカの強さよりも世界の弱さなのだ。このギャプが変化するまでは、アメリカがいかにひどいカードを切っても、ドルが下落することはないだろう。

ピーク・チャイナという幻想
―― 中国パワーの現実

2024年6月号

エヴァン・S・メデイロス 元米国家安全保障会議 アジア上級部長

経済的に衰退する中国には、もはや「かつてのような力はない」のか。現実には、中国共産党は、大方の予測を覆して、危機をうまく切り抜けることが多く、習近平は現在の経済状況について心配していない。むしろ、現状は、より強く、持続可能な経済になるための成長痛を経験しているようなもので、近代化目標に向かって突き進めるように、経済を再構築するための厳しい選択をしていると北京では考えられている。中国の指導者たちは、自国がピークアウトしたかどうかは心配していない。たとえ成長のペースは鈍化しても、米中間のギャップは縮まり続けていると確信している。

中国は欧米との衝突コースへ
―― 実現しない内需主導型モデルへの転換

2024年5月号

ダニエル・H・ローゼン ロジウム・グループ パートナー
ローガン・ライト ロジウム・グループ パートナー

欧米のエコノミストは、個人消費の制約に対処することで、北京が内需主導の経済戦略へシフトすることをこれまで長く求めてきた。国内経済のリバランスと貿易黒字の削減を両立させるには、不動産やインフラへの投資を減速させるだけでなく、消費を促進する必要がある。だが、中国の指導者たちは、必要な変化を先送りし、経済の外需依存を高めるような政策をいまもとっている。先進国も途上国も同様に中国による大規模な輸出攻勢に反発している。それでも、北京は問題を無視しているようだ。こうして、中国の過剰生産能力が外国政府をこれまで以上に激しい対抗措置へ向かわせつつある。その結果生じる対立は、中国経済にとっても、世界の貿易システムにとっても許容できるものではないだろう。

中国経済は成長を続ける
―― 悲観派を惑わす4つの誤解

2024年5月号

ニコラス・R・ラーディ ピーターソン国際経済研究所 シニアフェロー

アメリカを追い越すどころか、中国は長い不況に突入する可能性が高く、「失われた10年」を経験するのかもしれない。中国経済の今後をこう捉える悲観派の見方は状況を誤認している。中国は今後も世界の経済成長の約3分の1に貢献し、特にアジアでの経済的影響力を高めていくはずだ。ワシントンがこの流れを過小評価すれば、アジアのパートナーとの経済・安全保障関係の深化を維持していくアメリカの能力を過大評価することになるだろう。中国経済の先行きを懸念する人が指摘する、家計支出の低迷、民間投資の減少、デフレの定着などはすべて状況を誤認している。

経済安全保障とラテンアメリカ
―― 中国に代わるサプライチェーンの確立を

2024年4月号

シャノン・K・オニール 米外交問題評議会 副会長(研究担当)

アメリカは重要鉱物の80%を外国から調達しており、ニッケル、マンガン、グラファイトといったバッテリー製造に使われる鉱物はとくに中国に大きく依存している。マイクロチップの60%、そして最先端の半導体チップの90%は、中国の脅威にさらされている台湾で製造されている。こうした現状には大きなリスクがある。しかし、われわれはラテンアメリカに目を向けることができる。南部国境以南の国々について、「良いフェンスが良い隣人をつくる」と考えている米指導者もいるかもしれないが、それは、大きな間違いだ。ラテンアメリカをサプライチェーンに深く統合せずに、経済的な同盟国をアジアやヨーロッパという遠くに求め続ければ、ワシントンは、さらに大きな中国の影響力が裏庭におよぶことを後押しすることになる。

米中地政学とグローバル経済
―― 同盟国との経済連携の強化を

2024年2月号

ピーター・E・ハレル 元米国家安全保障会議 シニアディレクター

ワシントンは、進化する地政学的必要性に対応できるやり方で、中国との経済関係を積極的に管理していくべきだ。主要サプライチェーンでの対中依存を減らし、欧米が機微技術をめぐる優位を維持できるようにし、他の先進7カ国(G7)メンバーとの産業政策協定の締結も視野に入れるべきだろう。分野別の小型の貿易合意、同盟国とのサプライチェーン協定を結ぶ一方で、グローバルサウスを引き寄せる必要もある。世界貿易機関が地政学の時代にそぐわないことも認識しなければならない。ワシントンが経済的リーダーシップを維持し、同盟関係を強化し、破滅的な結果を回避できるかを、成功を判断する基準に据えるべきだろう。

中露に挟まれたモンゴルの選択
―― アメリカは何をオファーできるか

2023年11月号

トゥブシンザヤ・ガンチュルガ 元モンゴル大統領補佐官(外交政策担当)
セルゲイ・ラドチェンコ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際問題研究大学 特別教授

中国とロシアにほぼ全面的に経済を依存する内陸国のモンゴルは、それでも、二つの隣国の違いを利用し、あるいは欧米との関係を強化することで、中露から距離を置こうと試みてきた。だが、いまや中露はますます接近し、モンゴルが両国の立場の違いを利用する余地は小さくなっている。アメリカは、モンゴルとの貿易・投資関係を促進し、教育・訓練プログラムを通じてモンゴルへの長期的なコミットメントを示すべきだし、モンゴル側は、外国人投資家を安心させ、透明で予測可能な経済環境を整備する試みを強化する必要がある。必要とされているのは、ロシアの高圧路線や中国の執拗な覇権主義に直面しているモンゴルへの手堅い経済関与だろう。

中国は停滞と混乱の時代へ
―― 社会不満と経済停滞が重なれば

2023年10月号

イアン・ジョンソン 米外交問題評議会 シニアフェロー(中国研究担当)

生活レベルの改善に貢献している体制への反政府運動は力を持ち得ないが、経済衰退期には、多くの人が反体制派や批評家に現実の説明を依存するようになる。これまでも、エコノミストたちは、中国経済の成長は鈍化し、停滞期に入りつつあると主張し、その理由として、人口動態の変化、政府債務、生産性の低下、市場志向改革の欠落などを指摘してきた。いまや「ピーク・チャイナ」という言葉さえ使われている。長期停滞に入った中国でも、人々は、反体制派の主張に現実の説明を依存するようになるかもしれない。いまや、北京は体制の安定を追求するあまり、技術的な進歩や民衆の支持さえも犠牲にし始めている。

中東の外交戦略と中国
―― 中東諸国の真意は何か

2023年9月号

ジェニファー・カヴァナ カーネギー国際平和財団 シニアフェロー(アメリカ外交)
フレデリック・ウェフリー カーネギー国際平和財団 シニアフェロー(中東)

アラブ諸国が北京を受け入れたのは、アメリカの軍事プレゼンスが低下したからではない。むしろ、インフラや技術など、ワシントンが支援する能力や意欲が低いと思われる分野で中国を取り込みたいと考えたからだ。当然、ワシントンは中国の影響力拡大に対抗する親米ブロックの形成を中東で目指すべきではない。むしろ、人的資本の向上、教育、グリーン・テクノロジー、デジタル・プラットフォームなど、比較優位をもつ分野への政策ツールと投資をワシントンは拡大していくべきだ。傍流に追いやられないようにするには、アメリカは大国(中国)の介入ではなく、現地の社会経済問題と統治問題が、今後10年間における最大の脅威となる危険が高いことを認識しなければならない。

米中対立とドイツの立場
―― 微妙なバランスを維持できるか

2023年9月号

リアナ・フィックス 米外交問題評議会フェロー(ヨーロッパ担当)
ゾンユアン・リュー 米外交問題評議会フェロー(中国研究担当)

貿易上の比較優位を中国が戦略ツールとして利用することへの懸念を共有したことで、アメリカとヨーロッパは「ディリスキング・アジェンダ」の下、緊密な協調関係を築いている。それでも、欧米間の大きな立場の違いは依然として存在する。ドイツは、地政学リスクを慎重に回避しながら、中国との貿易を通じて繁栄を維持することを望んでいる。当然、ベルリンは反中国「ブロック」のメンバーになることは望んでいない。だが、より強硬になった中国が作り出す地政学的リスクの回避に努めずに、ベルリンが、もっぱら、経済利益を優先し続ければ、おそらく台湾をめぐる安全保障危機でも(中国に)経済的強制策で手足を縛られる恐れがある。・・・

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