1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

― 中国経済の成長とリスクに関する論文

Review Essay
中国の政治経済体制の今後を検証する
――民主化、崩壊、それとも現体制の存続?

2006年11月号

アンドリュー・J・ネーサン コロンビア大学政治学教授

中国の民主化、崩壊シナリオを唱える人がいる一方で、現体制の存続を予測する人もいる。農村部の貧困や不良債権問題など、山積する課題に直面しているとはいえ、現体制が崩壊する気配はないし、一方で、民主化プロセスが進展する様子もない。 実際、中国の実験は、近代化路線を導入しても、権威主義体制の基盤を損なうことなく繁栄を手にできることを実証しつつあるのかもしれない。カザフスタンからイランまでの独裁政権が、中国の状況を、固唾をのんで見守っているわけはここにある。中国の歴史の流れを大きく変化させるものがあるとすれば、それは、内的要因よりも、むしろ、外からの衝撃かもしれない。アメリカ経済が衰退すれば、経済成長を前提とする中国における社会契約が崩壊してしまうかもしれないし、朝鮮半島で戦争が起き、感染症が蔓延した場合も同様に流れは大きく変化する。

中国の経済と貿易の行方

2005年5月号

スピーカー
カーラ・ヒルズ/元米通商代表
シャーリーン・バーシェフスキ/前米通商代表
司会
リオネル・バーバー/フィナンシャル・タイムズU・S・マネージング・エディター

現在でも日本が受け入れている外国投資の規模はポルトガルへの外国からの投資規模と変わらない。外国からの直接投資、そして輸入の受け入れについて、日本はいまも開放的とはいえない。一方、中国は輸入に国内市場を開放している。この点からも中国を保護主義的だと槍玉に挙げるのは難しい。(ヒルズ)

どのような人民元対策であれ、中国は、それによって経済成長が損なわれず、雇用創出のペースが鈍化しないような措置しかとらないだろう。というのも……現在北京は、雇用創出と社会の安定は不可分の関係にあるととらえているからだ。(バーシェフスキ)

邦訳文は、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたコーポレート・プログラムでの世界貿易をテーマとする討論における中国に関する議論の抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

「中国経済の奇跡」という虚構

2004年9月号

ジョージ・ギルボーイ/MIT国際研究センター研究員

中国をアジアにおける新たな技術・経済「大国」とみなすよりも、普通の新興経済国家とみなすほうが適切である。中国の産業の多くは国有企業と「支配的な影響力を確立しつつある外資系企業」によって構成されており、中国の民間企業はいまも国有企業、外資系企業と競争していく力を確立できていない。

近代化を成し遂げる最終段階になって、産業の分断状況と権威主義的支配という重荷がのしかかってきているというのが中国の現実であり、政治改革を断行しないことには、さらなる発展を阻む閉塞的な中国のビジネス文化を変えていくことはできない。

中国のWTO加盟という機会と危機

2002年1月号

ジェフリー・L・フィードラー 米労働総同盟・産別会議顧問   ロバート・D・ホーマッツ ゴールドマン・サックス&カンパニー副会長 ケビン・ニーラー 国際政策フォーラム上級研究員  デービッド・E・サンガー ニューヨーク・タイムズ紙ホワイトハウス担当記者

以下は十月中旬に公開された米外交問題評議会のリポート「中国のWTO加盟と米中関係の行方」(日本語インターネット版二〇〇一年十二月号掲載)の公表を受けて開かれた討論会の議事録からの抜粋。スピーカーはいずれもリポートの作成にかかわったタスクフォース・メンバー。発言部分の前に名前を記していない議論は匿名によるもの(匿名と表記)。

米外交問題評議会ミーティング
キッシンジャーが読み解く新世界
――元大統領補佐官が語る新政権の課題

2001年5月号

リチャード・V・アレン、ロバート・C・マクファーレン  

アジアは外交的にはグローバル・システムの一部を形成しているが、戦略的には各国が互いに相手国を潜在的な敵対勢力と見なしていた十九世紀のヨーロッパと同じメカニズムでいまも動いている。だが、最大の問題は特定の一国がアジアを支配しようと試みることで、かつてそのような試みをした日本とアメリカは戦争をした。しかし、そのような試みが具体化していない現状では、中国を含むいかなる国も敵対国と見なすべきではない。(キッシンジャー)

米中衝突を避けるには

2001年2月号 

デービッド・シャンボー

アメリカの将来にとって中国ほど重要な国はない。それだけに、中国との対立をもくろむ勢力がアメリカの政策立案過程を牛耳ることになれば、世界は大きく不安定化するだろう。朝鮮半島の情勢変化は、中国が受け入れるような形で、東アジア諸国とのアメリカの安全保障同盟を再定義・強化し、アメリカ軍の前方展開を維持できるような地域安全保障枠組みを構築する必要を高めている。新大統領は、対中政策を政治的論争から外すことの重要性を訴え、北京と台北に関するアメリカの死活的な利益が何であるかを明確にし、こうした複雑な関係を取り扱うための明確なビジョンを表明すべきである。

米中関係の試金石としての環境問題

1999年4月号

エリザベス・エコノミー  外交問題評議会研究員

開発かそれとも環境保護かというつば競り合いのなか、中国の指導者は開発のペースが環境悪化のペースを上回ることを期待し、環境問題を世界の他の地域に押しつけ、もっぱら開発を優先させるという行動に出た。国内的に、現政権が正統性を維持できるかどうかが、ひとえに急速な経済成長を持続できるかにかかっていたからだ。だが、昨今の経済ブームが残した環境問題は、脆弱な社会・政治・経済上のインフラを脅かしており、中国の経済成長、つまりは共産党政府の正統性の基盤が持続可能かどうかも危うくなっている。米中関係の厳しい現実からみて、環境問題を新たな対立の火種ではなく協調の手がかりとするには、政治色の弱い「米中環境・開発フォーラム」に中核的役割を与え、フォーラムへの両国の企業、非政府組織(NGO)、研究財団の参加を積極的に働きかけていくべきだろう。

迫りくる中国の激震

1998年9月号

ニール・C・ヒューズ  前世界銀行シニア・オペレーションズ・オフィサー

国有企業は単なる「職場」ではなく、労働者やその家族に各種サービスを提供するコミュニティーである。しかし、今や国有企業はひどく非効率となり、これが生き長らえているのは、ひとえに政府の補助金政策のおかげである。経済改革を成就するには、「鉄飯碗」として知られるこのコミュニティーを崩す必要があるが、それは同時に改革プログラムを政治的に支えている社会的安定基盤も揺るがしてしまう。だが現実には、政府は国有企業の多くを閉鎖せざるを得ず、その場合には千五百万人もの労働者が失業し、その多くが抗議行動に繰り出すことになるだろう。社会的、政治的激震を回避するには、企業、労働者、中央政府、地方政府が負担義務を分かち合う、国による社会保障システムの構築、さらには労働者のための職業再訓練プログラム、公共事業の準備が不可欠であり、その準備のために中国政府に残された時間は少ない。

アジア経済危機は中国にも波及するか

1998年8月号

ニコラス・R・ラーディ ブルッキングス研究所上席研究員

「不正行為、腐敗、(金融への)政治的影響力の強さ」というアジアの諸問題の背景をなす銀行支配型金融システム、中央銀行の独立性と商業銀行規制の弱さという側面は中国にも認められ、膨らむ一方の不良債権というアジア経済の共通問題も、赤字だらけの国有企業を抱える中国にとって同様に深刻である。ではなぜ、アジア危機の悪影響を今のところ中国はほとんど受けていないのか。それは、東南アジア諸国とは対照的に、「資本勘定の交換性」が存在せず、中国が外貨建ての取引を厳格に規制しているため、海外、国内の投資家の行動がひどく制約されているからにすぎない。国有企業、銀行の改革を終えたわけでも、市場化、商業化を果たしたわけでもない以上、経済改革そして中国経済の行方は、いまだ予断を許さない。

それでもアジア経済は甦る

1998年2月号

スティーヴン・ラデレット (ハーバード大学国際開発研究所研究員) ジェフリー・サックス (ハーバード大学経済学教授)

「東南アジアの通貨危機はアジアの成長の終焉を示す兆候ではない」。通貨危機が適正に処理されれば、「アジア経済は二、三年のうちに再び高い成長率を取り戻すはずだ」。後発経済を先進諸国の成長のエンジンと連動させるために、多国籍企業の生産ラインとその技術を後発経済に取り込むことに見事に成功したからこそ、アジアは驚くべき経済成長を実現できた。アジアが、「制度・機構面での大きな制約(ゆえにではなく、)制約にもかかわらず、急速な成長を遂げた」ことを忘れてはならない。逆に言えば、アジア地域が直面する共通の一般的課題は金融統治(監督)システムの創設、そして、洗練された高所得国にふさわしい……法システムの導入なのである。「資本主義の諸制度を経済の急速なキャッチアップ・プロセスのための有効な手段にできることを証明してきた」アジアが、今後これらの課題に取り組んでいけば、西洋で誕生した資本主義システムのグローバルな有効性を実証しつつ、「二十一世紀初頭には世界の経済活動の中心地として再興隆しているだろう」

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