1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

資本主義と民主主義の後退に関する論文

ロシアの軌道に組み込まれるジョージア
―― ハンガリー化するジョージア

2025年2月号

クリスチャン・カリル ジャーナリスト

12年前に政権党になって以降、「ジョージアの夢」は巧みに国を掌握してきた。かつて首相を務め、同党に大きな影響力をもつビジナ・イヴァニシヴィリは、官僚、司法、法執行部門の事実上すべての主要な役人を、段階的に党に忠実な支持者に置き換えていった。こうして、「ジョージアの夢」は、自分たちの条件で思うままに権力基盤を固め、ついには、欧米の影響力を遮断することを目的とする「外国の代理人」法を成立させ、不正な選挙を実施した。「ジョージアの夢」は、すでにビクトル・オルバン流の国家乗っ取りへ向けた重要な一歩を踏み出し、いまや欧米からロシアへと決定的に軸足を移そうとしている。

中国の政治腐敗と格差
―― 壮大なスケールの汚職

2024年11月号

ブランコ・ミラノヴィッチ ニューヨーク市立大学大学院センター シニアスカラー
リー・ヤン ライプニッツ欧州経済研究センター 研究員

大規模な反政治腐敗キャンペーンが中国で進められてきたのは、習近平の政治的思惑からだけではない。都市部における格差が極端なレベルに達していたからだ。所得が高い者は、(賄賂や横領で)平均して4倍から6倍、なかにはそれ以上に所得を増やしている。つまり、中国の実質的所得格差は、記録されている格差レベルよりもはるかに大きい。一方、反政治腐敗キャンペーンは、大金持ちや権力者を追及することをためらわない限り、独裁者がポピュリストとしての信頼を高めることにも貢献する。習近平だけでなく、ロシアのプーチンも、このやり方を取り入れている。

流動化する世界と米再生戦略
―― アメリカとリビジョニストパワー

2024年11月号

アントニー・ブリンケン 米国務長官

バイデン政権はアメリカの競争力強化を目的とする歴史的な国内投資と各国との協調関係の再生に向けた力強い外交キャンペーンを組み合わせて展開した。この二つの支柱から成る戦略が、「アメリカは衰退し、自信を失っている」とみなす(中露などの)リビジョニストパワーの思い込みを粉砕する最善の方法だと、バイデン政権は信じていた。米衰退論の思い込みに囚われている限り、リビジョニストパワーは、アメリカやほとんどの国が求める「自由で開放的な世界、安全で繁栄する世界」にダメージを与え続けようとするからだ。アメリカはリビジョニスト諸国の思い込みを粉砕するための決意を維持しなければならない。そして、リビジョニストパワーが相互の立場の違いを克服するために、今以上に協力する事態に備える必要がある。

*英文は以下から閲覧できる。
https://www.foreignaffairs.com/united-states/antony-blinken-americas-strategy-renewal-leadership-new-world

ビッグテックのクーデター
―― いかにパワーシフトを抑えるか

2024年11月号

マリーチェ・シャーケ スタンフォード大学 サイバー・ポリシー・センター フェロー

政府からビッグテックへのパワーシフトが進行している。テクノロジー企業は議会にロビイストを送り込み、シンクタンクや学術機関に資金を提供して、世界がテクノロジー産業をどうとらえるか、その理解を形作っている。民主主義が生き残るには、指導者たちはこのクーデターと正面から向き合い、闘わなければならない。ビッグテックへの社会の全般的依存、彼らが活動するデジタル空間が法的グレーゾーンであることなどが変化の潮流を形作っている、彼らは、技術を速いペースで進化させて、法律を回避し、政策による反撃を心配することなく、疑わしい行動をとっている。政府は公益性のあるテクノロジーに力を与え、テクノロジーに関する専門知識を再構築して対抗して必要がある。

再生する資本主義
―― スイス、台湾、ベトナムに学ぶ

2024年11月号

ルチール・シャルマ ロックフェラー・インターナショナル 会長

新興経済諸国は、アメリカが「大きな政府」的解決策を模索するのをみて衝撃を受ける一方で、中国に経済モデルのインスピレーションを求めることもできずにいる。いまや「中国経済の奇跡」も失速しつつある。だが、主要国が資本主義から後退しているかにみえるなか、スイス、台湾、ベトナムなどの、資本主義がうまく機能している国もある。これらの諸国のやり方を模倣し、取り入れる価値はあるだろう。いずれも、経済的自由を重視し、経済の管理や規制をめぐる政府の役割を抑え、債務や財政赤字が深刻なリスクになることを認識して資金を慎重に用いている。

選挙と民主主義
―― 選挙年と有権者の選択

2024年10月号

フランシス・フクヤマ スタンフォード大学 シニアフェロー

選挙が提供するのは、政策上の失敗に対する指導者の責任を問い、成功したとみなされる指導者に報いる機会だ。選挙が危険になるのは、単に疑わしい政策を押し付けようとするだけでなく、自由で民主的な基本制度を弱めることを望み、実際に弱体化させる指導者が台頭したときだ。民主主義が衰退していると考えるリベラル派の多くは、この流れを覆すために何かできることはないかと問いかけている。実際には、この問いへの答えは単純で退屈なものだ。仲間とともに投票にいくか、あるいは、もっと積極的に行動したいのなら、民主的な政治家が選挙で勝利できるように、立場を共有する人々を動員するために活動することだ。「選挙の年」の結果からくみ取るべき教訓は、ポピュリストや権威主義的政治家の台頭は必然ではないということだ。

インド資本主義の構造的危機
―― 自由化、縁故主義、改革

2024年10月号

ヤミニ・アイヤール 政策研究センター 前会長

1991年以降のインドには、「経済自由化の促進」という大きな方向性については社会的・政治的コンセンサスがある。それでも、失業や格差など、民衆の経済に対する不満は大きく、2024年の総選挙は、インド経済の欠陥と30年にわたる経済自由化の果てに、この国の資本主義が人々に信頼されず、危機に直面していることを際立たせた。インド政治における縁故主義や汚職のまん延がなくならないだけに、政治家が資本主義のダイナミックな姿を示すのは難しいのかもしれない。フォーマル経済と企業集中が一定の成長をもたらすとしても、このまま民衆の多くが取り残され、格差が拡大する現状が続けば、インドは、大きな混乱に直面することになるかもしれない。

気候変動と民主主義
―― 異常気象と選挙

2024年10月号

カレン・フロリーニ クライメート・セントラル 副会長(ストラテジック・インパクト担当)
アリス・C・ヒル 米外交問題評議会 シニアフェロー(エネルギー・環境担当)

いまや選挙の障害を作り出しているのは、偽情報、外国政府による干渉、選挙結果の改ざんだけではない。気候変動が引き起こす異常気象もそうだ。ハリケーン、洪水、山火事、熱波などさまざまな災害によって、有権者は選挙権をますます行使しにくい環境に直面している。カナダは、2023年の森林火災で地方選挙の実施に手間取り、パキスタンは2022年の国政選挙前に、国土の3分の1が洪水で覆われる事態に陥った。投票所、IDカード、通信ネットワークが被害を受け、破壊されても、投票という民主主義の基本的権利を市民が行使できるような対策をとる必要がある。

政治暴力の連鎖を防ぐには
―― トランプ銃撃事件と政治暴力リスク

2024年9月号

リリアナ・メイソン ジョンズ・ホプキンス大学 准教授(政治学)
ネイサン・カルモー ウィスコンシン大学マディソン校 コミュニケーション・市民再生センター 事務局長

トランプは日常的に特定集団を侮辱し、政敵を「害虫」と呼び、移民をアメリカの「血を汚す」動物とさえ呼んだ。政治暴力そして大衆の暴力支持を煽り立てているのは、(政治指導者の)レトリックだけではない。文化、そして攻撃的な共和党系集団もそれを助長している。政治暴力を低下させる上で重要なのは、共和党が多元的で多民族の民主主義を受け入れる方向へ路線を見直すことだ。政治暴力への世論の許容度は党派を超えて高まっているが、右派はこの感情を現実に暴力行動に移す可能性がはるかに高い。実際、共和党が立場を見直さなければ、アメリカの政治的未来はこれまで以上に暴力的になる危険がある。

新興大国と覇権国
―― 衝突は不可避なのか

2024年9月号

マンジャリ・チャタジー・ミラー 米外交問題評議会シニアフェロー

覇権国と新興大国は、衝突する運命にあるのか。現実には、台頭する新興国は、既存の規範の多くを守り、一部の側面を拒絶するときも他の新興大国と協力して慎重に行動する。そうすることで、現秩序のなかで自らの台頭を強化すると同時に、新しい秩序を構築する力をつけるまで、覇権国を弱体化させようとする。だが、覇権国が国際秩序をどのように管理するかで、対立が紛争に発展するかどうかが左右される可能性もある。覇権国にとって、新興大国の脅威に対処する最善の方法は、新興大国と対立したり、打ち負かそうとしたりすることではなく、国際秩序を利用して封じ込めることかもしれない。

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