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年度別傑作選に関する論文

The Classic Selection 1932
大恐慌

2008年12月号

エドウィン・F・ゲイ
ハーバード・ビジネススクール初代学部長

「現在の生産力と生活水準を即座に引き上げるために、将来を担保に自由に信用に頼るという戦時の慣習が戦後も続いた。途方もない大量の信用が使われ、乱用されることもしばしばだった。乱用自体は目新しくないが、創造される信用の規模はかつてないものとなった。紙の上での利益を人々が現実にお金に換えだすと、肥大化した信用が収縮しだし、多くの投資家が浮かれた夢から目を覚まし、我を取り戻した。そしてパニックが起きた」

CFRインタビュー
カーライル・グループ、
D・ルーベンシュタインが語る
金融危機第2幕に備えよ
――強欲は鳴りをひそめ、恐怖がとって代わった

2008年11月号

デビッド・M・ルーベンシュタイン カーライル・グループ共同創設者兼マネージング・ディレクター

 アメリカの株式市場が下落し、世界中の主要株式市場も連鎖的に下落したことを受けて、専門家の多くは、2008年の金融危機はすでにパニックを引き起こしていると考えるようになった。大手プライベート・エクイティのカーライル・グループの創設者で、現在、マネージング・ディレクターを務めるデビッド・M・ルーベンシュタインは、パニックと恐怖を緩和するには、「なりふりかまわずに」あらゆる対策を打たなければならないと主張する。
 米外交問題評議会(CFR)の役員でもあるルーベンシュタインは、現在起きている株式市場の暴落と信用収縮は金融危機の「氷山の一角」にすぎないと述べ、この数十年間にわたって世界経済を牽引してきた金融および経済の原動力の徹底的なオーバーホールが行われることになると今後を見通している。さらなる混乱を回避するには、政府とビジネスの指導者の協調、そして各国政府との協調が必要になると語る。
 現在の混乱はプライベート・エクイティのビジネスにどのような影響を与えるのか。レバレッジ規制はプライベート・エクイティにとっても大きな問題となるとルーベンシュタインはみる。潤沢なキャッシュを手元に持ってはいても、ローンを組むことができなくなれば、プライベート・エクイティは、レバレッジを利用して企業を買収していく戦略を取ることができなくなり、生き残っていくには、どのようにビジネスモデルを変えていくかを考えていかなければならない、と。一方で同氏は、特定の段階になれば、千載一遇の投資チャンスをとらえようとする投資資金が流入し始め、企業が再生していくと考えられるとコメントした。聞き手は、リー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアソシエート・エディター)。

民主国家連盟か、中ロを含む大国間協調か
 ――ブッシュ後の世界秩序の試金石

2008年11月号

チャールズ・A・クプチャン ジョージタウン大学教授

民主国家が、今後の世界が多極化と政治的多様性に特徴づけられていくことを理解しないままに、民主国家連盟構想を実現しようと試みても、期待するような「歴史の終わり」という局面への道を切り開いていくことはできない。結局は行き止まりに遭遇するだけだ。新しいグローバルな秩序を誕生させるには、ワシントンとヨーロッパは、台頭する権威主義国家への認識を変えるとともに、北京とモスクワも欧米に歩み寄る必要がある。ワシントンは多様な政体から成る多極世界において、辛抱強く、しかも穏やかに行動していくことを学んでいかなければならない。そのためには、地域内の危機に対処できるように地域機構の能力を整備して強化し、世界の新たなパワーバランスを反映するように国連安保理を改革するとともに、また、主要経済国のフォーラムであるG8を、アメリカ、EU、日本、ロシア、中国、インドで構成されるG6とし、大国間協調の枠組みへと変化させていく必要がある。民主国家連盟構想では、解決策にならない。

グレートゲームからグランド・バーゲンへ
 ――アフガン、パキスタンをカオスから救い出すには

2008年11月号

バーネット・R・ルービン ニューヨーク大学国際協調センター所長
アハマド・ラシッド ジャーナリスト

パキスタンとアフガンをカオスから救い出すには、まずアメリカが対テロ戦争の目的を再定義しなければならない。イスラム主義運動をひとまとめにしてとらえるのではなく、「地域的、あるいは国家的な目的から活動しているイスラム主義運動」と「アメリカおよびその同盟国にテロ攻撃をしようと試みている国際的なテロ運動」を区別する必要がある。こうした区別を通じて、タリバーンから「アルカイダとは関わり合いを持たない」という言葉を引き出せれば、アルカイダに戦略レベルでの敗北を強いることができる。さらに、パキスタンの不安の緩和に努めつつも、破壊的な行動を放置するのをやめるようにはっきりとイスラマバードに伝えることで、アフガンの安定をめざす地域コンセンサスを構築していくための大胆な外交イニシアティブを模索していかなければならない。

ドルの再生と新ブレトンウッズ体制の導入を
 ――固定相場制と金本位制の復活を

2008年11月号

ジェームズ・グラント グラント金利オブザーバー編集長

1971年以後の国際通貨レジームもすでに寿命を迎えつつあり、老朽化の弊害が兆候として表れている。不安定な為替レート、世界規模でのインフレ、対米債権国における中央銀行のバランスシートにドルが積み上げられていることがその証左だ。この20年間にわたって、健全だと考えられていた制度、合理的だと思われていた市場が幾度となく制御不能に陥ってきた。このままでは、世界規模での通貨・金融危機のリスクはますます高まっていく。持続性のある、優れた後継の国際通貨システムが必要だ。それは第二次世界大戦後に生まれた体制と同じく、固定為替相場と金が支える基軸通貨を中心としたシステムになるはずだ。

イラクの安定の継続か、内戦への回帰か、
その鍵を握る米軍撤退のタイミング
 ――米軍の迅速かつ大規模な撤退を回避せよ

2008年10月号

スティーブン・ビドル   米外交問題評議会シニア・フェロー
マイケル・E・オハンロン   ブルッキングス研究所シニア・フェロー
ケネス・M・ポラック ブルッキングス研究所   セバン中東研究センター所長。

もうしばらく辛抱すれば、現在のイラクの安定が定着し、2010~2011年には大規模な米軍撤退を実施しても、イラクの安定が維持される現実的な見込みが出てきている。スンニ派武装勢力、シーア派武装勢力の力が弱まり、イラク・アルカイダの影響力が低下する一方で、イラク治安部隊が強化され、その結果、政治面でも新しいダイナミクスとインセンティブが作り出されているからだ。民族・宗派間抗争が激しかった過去数年間、イラクの政治勢力の影響力の基盤は、「保護を必要とする者を保護し、保護を必要としていない者を脅迫するための武装勢力を持っていた」ことにあった。しかし、これらの武装勢力は力を失ってきているし、その結果、政治勢力も歩み寄りを模索するようになってきている。この安定を維持し、定着させなければならない。少なくとも、2008年末と2009年末にそれぞれ予定されている地方、国政レベルでの選挙が終わるまでは、相当規模の米軍を維持する必要がある。ある程度の忍耐を持ち、現在のイラクにおける前向きな変化をうまく育んでいけば、永続的なイラクの安定という望みを捨てることなく、近いうちに米軍を撤退させられるようになるかもしれない。

地球温暖化をいかに封じ込めるか
 ――途上国を取り込んだ「キャップ・アンド・インベスト」枠組みの導入を

2008年10月号

カーター・F・ベールズ ウィックス・グループ名誉マネージング・パートナー
リチャード・D・デューク 天然資源保護協議会・市場改革センター・ディレクター

ワシントンは、温室効果ガス排出権取引システムを導入し、そこから得た歳入をエネルギー使用効率やクリーンな電力生産領域での技術革新に利用していくことを目指す「キャップ・アンド・インベスト」戦略を実施すべきだ。キャップ・アンド・インベスト戦略が導入されれば、アメリカはごくわずかな経済コストでクリーンエネルギー経済へとシフトできるようになる。事実、コンサルティング企業のマッキンゼーの最近の報告は、政府がエネルギー使用効率改善と技術革新による可能性を最大限に促進すれば、2030年までにアメリカの温室効果ガス排出量を30%近く削減するのに必要なコストをほぼゼロへと圧縮できると指摘している。

Classic Selection 2008
米中によるG2の形成を

2008年7・8月号

C・フレッド・バーグステン/ピーターソン国際経済研究所所長

現在のアメリカの対中アプローチは、既存のグローバル経済秩序に参加するように中国を促すことに焦点を当て、一方の中国は、制度構築上の役割を担う余地のないシステムに組み込まれるという構図を不愉快に感じ、一部で制度に挑戦する動きをみせている。ワシントンは、短絡的に米中間の2国間問題にばかり焦点を当てるのではなく、北京とグローバル経済システムを共同で主導していくための真のパートナーシップを構築していくべきだ。グローバルな経済超大国、正当な制度設計者、国際経済秩序の擁護者としての中国の新たな役割に向けて環境を適正化できるのは、米中によるG2構想だけだ。米中間の紛争を制度的な管理の問題に置き換えて、解決を試みていくことは極めて効率的なやり方である。

新しい中東戦略を提言する
 ――イラン封じ込め戦略は間違っている

2008年6月号

バリ・ナサル  フレッチャースクール法律外交大学院国際政治学教授
レイ・タキー  米外交問題評議会シニア・フェロー

1980年代にアメリカは(シーア派の)イランを封じ込めようとアラブ諸国政府を動員したが、その結果、スンニ派の政治文化を急進化させ、ついにはアルカイダを誕生させてしまった。今回も、同様に忌まわしい結末に直面する危険がある。
  イラン封じ込め戦略は、シーア派のイランに対抗する思想的な防波堤としてスンニ派過激主義思想を助長するだけに終わるかもしれない。これまでのように中東のパワーバランスを回復することを目指すのではなく、地域の統合を働きかけ、すべての関係勢力が現状を維持することに利益を見いだすような新たな枠組みをつくり上げることを目指すことこそ、ワシントンにとって賢明な選択のはずだ。

21世紀の資源争奪戦

2008年6月号

スピーカー
ポール・J・カーン
コーエングループ・シニアカウンセラー
レオン・S・ファース
ジョージ・ワシントン大学教授
デビッド・G・ビクター
スタンフォード大学教授

司会
ポール・スタレス
米外交問題評議会紛争予防センター所長

「イリノイ大学の研究によれば、現在12億人が飲料水不足に苦しみ、26億人が不衛生な環境で生活しており、しかも、状況はますます悪化している。……地球が水で覆われているにもかかわらず、地球の飲料水資源は不足している」(P・カーン)

「原材料や資源確保への不安が日本を戦争の道へと駆り立てた。現在においても、重要な資源へのアクセスをめぐる不安が、戦争を誘発する危険はある」(L・ファース)

「資源争奪をめぐる紛争のリスクを心配するのであれば、人間の行動を規定する枠組みである統治制度を是正する必要がある。ダルフール危機を資源の側面からは解決できない。暴力を抑えるようにこの国の統治体制を見直すことが不可欠だ」(D・ビクター)

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