中東での壮大なパワーゲーム
―― 核合意とイスラエル覇権の間
2025年7月号
イスラエルの軍事的成功、イラン系「抵抗の枢軸」の衰退とシリアにおけるアサド体制の崩壊が中東秩序を大きく揺るがした。ガザの占領拡大に加え、イスラエルはレバノン南部に自らの意思を押し付け、シリアの多くの地域に軍事侵攻した。そしていまや、イランを軍事攻撃することで、レバントでの勝利を湾岸にまで拡大したいと考えている。イスラエルが地域覇権を確立しつつあるかにみえたために、イスラエルとイラン間の新しいバランスを形作ろうと、湾岸諸国は、トランプが求める新たなイラン核合意を推進する主要なプレーヤーになった。そこでは、壮大な駆け引きが展開されていた。トランプは湾岸諸国の立場を優先し、イスラエルの意向を無視した。
