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に関する論文

新政権の国家安全保障チームと大統領の権限
― 流れは国務省からホワイトハウスへ

2008年12月号

デビッド・J・ロスコフ
カーネギー国際平和財団客員スカラー

「バラク・オバマは知的な指導者だし、自ら意思決定に関与し、問題に対する自分の立場をスタッフに認識させておくタイプだと私は見ている。ロナルド・レーガンのように、国家安全保障チームとは一定の距離をおいて補佐官任せにするといったやり方はとらないだろう」。オバマの意思決定スタイルをこう予測するカーネギー国際平和財団のデビッド・ロスコフは、「未曾有の経済危機のなかで誕生するオバマ政権は国家経済会議を再生し、重要な役割を与えることになると思うし、・・・エネルギー安全保障会議」を新設するという話も一部には出ている」と言う。また「外交政策立案の比重は全般的に国務長官からホワイトハウスへとシフトしている」と指摘し、その理由について「ホワイトハウスは政治的余波を伴うであろう案件には自ら関わりたいと考え、人任せにはできない」と考えるようになっているからだとコメントした。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.crf.orgのコンサルティング・エディター)。

世界大国への道を歩み始めたブラジル

2008年12月号

フアン・デ・オニス ジャーナリスト

かつては「コーヒー大国」としてしか認知されていなかったブラジルも、いまや石油資源の開発ブームに沸き返り、農業生産性を飛躍的に向上させ、バイオ燃料生産でも世界の先端をいく国に成長した。インフレも低く抑え込まれ、市場経済型の施策に徹し、資本市場を整備したことで、世界から巨額の資金が流入している。国内の貧困と社会格差の問題にも対応策がとられ、いまやブラジルの人々は、「経済の地平線が国境を越えて広がった」という感覚を広く共有している。事実、ブラジルの国内総生産(GDP)の規模は1兆5800億ドルと世界10位にまで拡大した。過去の過ちを繰り返さないためには、未解決の問題への新たな処方箋をみつけていかなければならない。安定と成長を今後も維持していくことが前提になるが、今後、腐敗・汚職の横行、税制改革および労働市場改革の停滞、低い貯蓄率、効率に欠ける公教育制度、高度なスキルを持つ労働者不足という一連の問題をうまく克服していけば、長い間さほど重要な国とみられていなかったブラジルも、ついに「グローバル・プレイヤー」としての地位を手に入れることができるだろう。

イランの権力と政治構造を解明する
――ハメネイの絶対権力を崩さなければ、何も変わらない

2008年12月号

アクバル・ガンジ イラン反体制派ジャーナリスト

現在のイランが直面する苦境を招き入れたのは誰の責任か。1人を名指しするとすれば、それはイランの最高指導者として過去20年にわたって絶対的な権力を保持してきたハメネイだ。実際、あらゆる権力を牛耳っているのはハメネイで、アハマディネジャドが2009年の大統領選挙で敗れても、事態は何も変わらないだろう。特に外交分野では変化を期待できない。今後イランが本当に変わるとすれば、イラン人が現在のスルタン国家体制を超えて動きだす方法を見つけたときだけだろう。これまでのワシントンの最大の関心は、イスラム共和国の核開発プログラムを阻止し、中東地域におけるイスラエルの戦略的優位を確保することにあった。一方、イラン人の反体制派、人権活動家、民主活動家の目的は、非暴力的なやり方で、自由、人権、連邦主義を模索する民主政治制度を導入することにある。イランと交渉していくつもりなら、ワシントンはハメネイの絶対権力、そして、イランの民主化勢力の立場に十分配慮しなければならない。

Classic Selection2008
食糧危機の打開を阻む先進国の政治と妄想
――貧困国の現実に目を向けよ

2008年11月号

ポール・コリアー オックスフォード大学経済学教授

企業による大規模農業を推進し、遺伝子組み換え(GM)作物の禁止措置を解除し、アメリカのエタノール生産への補助金を打ち切れば、食糧価格を短期的にも、中・長期的にも低下させることができる。だがそれを妨げているものがある。昔ながらの農村生活の保護、オーガニックなライフスタイルを求める先進国の古い時代への郷愁が途上国に大規模農業の導入を求める路線を概念的に阻み、エネルギー自給という政治スローガンと農業団体のロビイングがアメリカのエタノール生産への補助金制度の打ち切りを阻み、そして、ヨーロッパの農業保護派、反米左派、健康マニアの連帯が、ヨーロッパやアフリカでのGM作物禁止措置の解除を阻んでいる。こうした障害を取り除いていくには、貧困国が食糧危機にいかに苦しんでいるかを先進国の市民に強く訴えて行く必要がある。食糧価格がすぐに下がらなければ、そして下がり続けなければ、途上国の貧しい家庭の子どもたちは飢え、その未来までもが大きく傷ついてしまうからだ。

2008年に入って、原油価格は一貫して乱高下を繰り返している。上半期には上昇を続け、最高値を次々に更新したが、7月に1バレル147ドルを超えたところで流れは変わり、9月初めには90ドルをわずかに上回る水準まで急激に値を下げた。その後、反発して100ドル超まで上昇したが再び下落し、現在は60~70ドルあたりで推移している。
 「原油価格の流れは、需給関係だけではもう説明できなくなっている」と一部の専門家は指摘する。もちろん、需給が価格を決定する基本要因であることに変わりはない。だが、最近の値動きには、需給関係に加えて投資行動の変化が大きく影響しているようだ。投機マネーが流入して、2008年上半期には原油価格の急騰を招いたが、投資家はそれ以降売りに転じ、金融危機とともに急ピッチで売りは膨らみ、それが原油価格の急落をもたらしたという見方をするアナリストもいる。実際、ヘッジファンド、年金基金、投資銀行などが投機的な動きを強めていることが、原油市場のトレンド予想を困難にしていると考える専門家は多い。だが一方では、いまでも原油価格を決定づけるのは「需給要因」だと主張する者もいる。彼らは、「新たな現実に直面してトレンドを読めなくなったアナリストが、その原因を投資家の行動パターンの変化に求めるのは筋違いだ」として投機が価格を高騰させたという見方を否定する。とはいえ、石油輸出国機構(OPEC)が実質的に価格を決められる時代は終ったとみなす点では、多くの専門家の間にコンセンサスがある。最近の原油市場の動きは以前にも増して、原油以外の商品市場の動きに似てきたという指摘も多く聞かれる。

グルジア紛争を解決するには
――米専門家5人に聞く

2008年9月

ドミトリ・トレーニン  カーネギー国際平和財団モスクワ・センター副所長
ラジャン・メノン   ニュー・アメリカン財団研究員
アリエル・コーエン   ヘリテージ財団シニア・リサーチフェロー
チャールズ・A・クプチャン  米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー
アラン・メンドーサ  ヘンリー・ジャクソン・ソサイエティ・エグゼクティブ・ディレクタ

グルジアとロシアはこれまでも敵対的な関係にあったが、2008年8月8日、ついに対立は紛争へとエスカレートした。これを侵略戦争と呼ぶ専門家も多い。南オセチア自治州でグルジア軍を圧倒したロシア軍は、そのままグルジア領土へと侵攻し、いくつかの都市を占拠した。
 フランスのニコラ・サルコジ大統領が8月12日にまとめた停戦合意は、ロシア、グルジアの双方に紛争前の現状へと復帰するように求めている。ロシア政府は、今回の行動は、南オセチアとアブハジアという分離地域におけるロシアの市民権を持つ人々と平和維持部隊を守るために必要だったと表明している。ブッシュ大統領は米軍に対して現地へ人道支援物資を届けるように命令し、モスクワに対して「紛争を終わらせるという約束を守るように」と要請している。以下は、「今回のグルジア紛争を経て永続的な平和が実現するか」というテーマでの5人の専門家へのインタビュー。

グルジア紛争後の米ロ関係

2008年9月号

スピーカー
スティーブン・セスタノビッチ/米外交問題評議会ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー
司会
チャールズ・A・クプチャン/米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー

ロシアの行動を認めないという観点から連帯が組織されようとしているが、これは主要な問題ではない。「そこで起きたのが何であるか、侵略戦争なのか、民族紛争なのか」をまずはっきりとさせる必要がある。(S・セスタノビッチ)

ロシア人は当時から、コソボを独立させれば、アブハジアや南オセチアでの問題を煽ることで報復すると語っていた。ワシントンはこれを口先だけの脅しにすぎないと考えていた。だが、ロシアは実際に言葉どおりの報復策をとってしまった。これは、欧米がロシアのコソボ問題への思い入れを無視し、NATO拡大策をとり、中央ヨーロッパへのミサイル防衛の配備を進めてきたことに対するモスクワの不満がいかに大きいかを軽く見ていたことを意味する。(C・クプチャン)

1990年代は中央・東ヨーロッパに民主主義を定着させることが課題とみなされていた。だが現在は、さらに東側のヨーロッパとアジアが出会うユーラシアを安定化させるというさらにむずかしい課題にわれわれは直面している。トルコ、ウクライナ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなど、バルカン半島から黒海、南コーカサスにいたる地域の安定化が問われている。南北を不安定な中東と敵対的なロシアに囲まれているこれらの国々が、ヨーロッパ大西洋コミュニティーの南方における新たな「側壁」を形成しつつあることを認識すべきだ。現在の西バルカン地域、グルジア、ウクライナなどの黒海周辺地域は、10年前の中央ヨーロッパや東ヨーロッパよりもさらに不安定で大きな危険にさらされている。

次期大統領が直面する遠大な課題

2008年9月号

リチャード・ホルブルック  元米国連大使

「マケインは自分のことを『リアリスト』、また最近では『理想主義的なリアリスト』と呼ぶことを好むが、彼の各問題に対する立場をみると、マケインといわゆるネオコンの立場が似ていることを無視することはできない。(一方)オバマの政策の特徴は、あらゆる課題を前向きに進化させていくとしている点にある。彼は、変化し続ける新しい現実に適応できるように、古い、硬直化した政策を調整していくとし、アメリカのパワーと影響力を強化する手段としては外交が最善であると強調している。……二人の立場の違いに目を向ければ、オバマとマケインが、……『世界におけるアメリカの役割』についての二つのビジョン、そして外交に対する異なる二つの態度を示していることがわかるはずだ」

米中戦略経済対話の継続を

2008年9月号

ヘンリー・M・ポールソン
米財務長官

「意思決定権を持つ指導者との直接交渉ほど関係を深化させるうえで有効な手立てはないし、特に、敬意と友情を重視する中国の場合、そうした高官レベルでの接触が大きな意味を持つ。……中国がアメリカに取って代わるのではないかと心配する声もあるが、それは杞憂というものだ。真に懸念すべきは、北京が重要な改革をしないかもしれないこと、そして、北京が改革の途上で重大な経済的困難に直面するかもしれないことだ。中国経済が大きなトラブルに見舞われれば、アメリカとグローバル経済の安定も脅かされる。……米中戦略経済対話は、グローバル経済の成長を維持する戦略原則から、米中関係を再定義へと向かわせた。(この対話枠組みは)両国の政策立案者に前向きなインセンティブを与え、両国関係の基盤をたんなる協調から共同運営へと進化させ、最終的には純粋なパートナーシップとして開花させていく機会を提供している」

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