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揺らぎ始めたアジアの世紀
――　米中対立とアジア諸国の選択

リー・シェンロン　シンガポール共和国首相

The Endangered Asian Century America, China, and the Perils of Confrontation

Lee Hsien Loong　シンガポール共和国の政治家で第３代首相。アジアの賢人と言われたリー・クアンユー初代首相の子息。

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揺らぎ始めたアジアの世紀 ――　米中対立とアジア諸国の選択

2020年8月号掲載論文

アメリカはアジア地域に死活的に重要な利害を有する「レジデントパワー」だが、中国はわれわれの目の前に位置する大国だ。当然、われわれアジア諸国は、米中のいずれか一つを選ぶという選択を迫られることは望んでいない。ワシントンが中国の台頭を封じ込めようとするか、北京がアジアにおける排他的な勢力圏を構築しようとすれば、米中は何十年も続く対立の道を歩み始め、待望久しい「アジアの世紀」の実現は脅かされる。アジアの成功とアジアの世紀の実現は、米中が互いの相違点を克服し、相互信頼を築き、平和的で安定した国際秩序に向けて建設的に取り組めるかどうかに左右される。しかしいまや、米中関係はギクシャクし、アジアの将来と新秩序の行く手には大きな暗雲が立ち込めている。両大国は、特定分野では競争しつつも、ライバル関係で他の分野での協調が抑え込まれないような行動様式を見出す必要がある。

アジアの世紀
パックス・アメリカーナの二つの顔
米中の基本的戦略
アジア太平洋のダイナミクス
多国間組織と地域秩序
協調と競争の間

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2020年8月号に掲載

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