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もう逃げ場がない
―― サバイバル移民とラテンアメリカの悪夢

アレクサンダー・ベッツ オックスフォード大学教授(国際関係論)

Nowhere to Go How Governments in the Americas Are Bungling the Migration Crisis

Alexander Betts オックスフォード大学教授(強制移住・国際問題)。ポール・コリア―との共著にRefuge: Transforming a Broken Refugee Systemがある。フォーリン・アフェアーズでは過去に「ヨルダンの新しい難民対策モデル―― 人道主義モデルから経済開発モデルへの転換を」(2016年7月)、「ヨーロッパの価値を救うには―― イスラム系難民とヨーロッパ的価値の危機」(2016年3月)などを発表している。

2019年12月号掲載論文

2015年にヨーロッパが経験し、現在ラテンアメリカで起きている危機は、政治難民や経済難民の流出によるものではない。人々は「生き残るための移住(survival migration)」を試みている。ほとんどの人は、政治的迫害そのものではなく、ハイパーインフレーション、略奪行為、食糧不足などの「劣悪な政治状況がもたらした経済的帰結」から逃れることを目的に移動している。問題は、1951年の国連による難民の定義、つまり、ソビエトの反体制活動家を念頭に置いてまとめられた定義では、この現状に対処できないことだ。国が破綻したか脆弱なために、生活が耐え難いものになってきたがゆえに彼らは母国を後にしている。統治の破綻、社会暴力、経済的窮乏などが大きな理由なのだ。これまでの難民や移民の定義を見直して、これまで難民にしか与えられなかった支援の一部を、「サバイバル移民」にも提供できるようにしなければならない。

  • 難民たちは何から逃れようとしているか
  • 米欧難民危機の共通点
  • 移住の複雑な動機
  • 配慮と反発の間
  • 欧州の教訓を生かすには
  • ラテンアメリカの実績
  • 多国間「連帯サミット」の開催を

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