1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

米国に関する論文

欧州はアメリカのパートナーかライバルか
――欧州憲法条約は何を意味するか

2004年12月号

ジェフリー・シンバロ/ウェイル・ゴットシャル&マンジェス法律事務所アソシエート

欧州憲法条約は、北大西洋条約機構(NATO)が欧州連合(EU)の安全保障にとって最終的には必要ではなくなると想定しており、仏独が主導するEUが、欧州からのNATO外し、アメリカ外しをねらっていることは明らかだ。統合ヨーロッパはアメリカのパワーを補完するのではなく、アメリカに対するバランスをとろうとしている。ワシントンは、EU内に新しいパートナーを見いだし、アメリカへの対抗軸を担おうとするEUへの牽制策をとるべきだろう。

アメリカの覇権と世界
――覇権国は帝国の歴史から何を学ぶべきか

2004年12月号

エリオット・コーエン/ジョンズ・ホプキンス大学教授

「帝国の時代」は終焉を迎えたかもしれないが、その後、アメリカ覇権の時代が始まった。帝国、あるいは帝国に似た存在であれば、妬まれ、憤慨され、疑われ、信頼されず、往々にして憎しみの対象とされるのは避けられない。現在の国際政治も、アメリカの優位とそれに対する反発で規定されている。だが、勢力均衡がいまに復活することはあり得ず、国連もうまく世界の問題を解決できてはいない。覇権国アメリカは、帝国の歴史が教える叡智に学びながら、混沌を回避するために世界に介入せざるを得ない。

技術革新の拠点としてアジアに目を向けよ

2004年11月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フ ェ ロー

アメリカの技術関連企業が進出し、現地に研究所が設立されると、アメリカに留学して訓練を受けていた科学や工学系の研究者たちが続々とアジアの母国へと帰国し始め、こうした技術拠点でも独自に技術開発が試みられるようになった。将来の技術革新に必要なアイデア、才能、資本が集積している技術拠点はもはやシリコンバレーだけではない。それは、中国、台湾、インドにも存在する。

アメリカへの信頼はいかに失墜したか

2004年11月号

ロバート・W・タッカー/ジョンズ・ホプキンス大学名誉教授
デビッド・ヘンドリックソン/コロラドカレッジ教授

いまや世界はアメリカのことを、都合のよいときだけ国際法を持ち出し、そうすることが有利な場合だけ国際機関を利用する国際社会の異端者とみなしはじめている。国際法へのコミットメント、コンセンサス重視型の政策決定、特定の問題よりも巨視的な問題を重視する姿勢、世界平和の維持へのコミットメントという戦後のアメリカの正統性を支えてきた四つの支柱がなぜかくも大きく揺らぎだしたのか。アメリカの正統性を回復する道はあるのか。

CFRタスクフォース・リポート
イランへの選択的関与を

2004年11月号

◎スピーカー
ロバート・ゲーツ/ジョージ・H・W・ブッシュ政権CIA長官
ズビグニュー・ブレジンスキー/カーター政権国家安全保障問題担当大統領補佐官
スザンヌ・マロニー/プロジェクト・ディレクター
◎司会
リー・フェインシュタイン/米外交問題評議会シニア・フェロー

ロバート・ゲーツは、2006年12月上旬に提言を発表したイラク研究グループ(ISG)のメンバーだっただけでなく、2004年に米外交問題評議会(CFR)がまとめたイラン問題タスクフォースの共同議長も務めていた。現在、ブッシュ政権は、内外の政策提言を検証しつつ、イラク政策見直しを行っている。ISGはイラク問題を管理していくための国際会議の開催を提言し、リチャード・ホルブルック元国連大使も、最近のインタビューで、イラク問題を論じるのに、イラン、シリア抜きでは意味がないと発言している。核開発を続けているとしても、イラクの安定化にはイランの協力が欠かせないとすれば、かつてイランへの関与を説いたゲーツ新国防長官はどのようなイラク・イランへの政策スキームを考えているのか。本文は、イラン問題に関するCFRタスクフォースが2004年夏に発表したリポートに関する討論。

新大統領が直面する外交課題は何か  
――イラクの戦後復興、核不拡散、中国

2004年10月号

フォーリン・アフェアーズ・ジャパン・ブリーフィング

―― 新大統領の外交アジェンダ 新大統領の主要な外交課題は何か?

専門家の多くは、イラクとアフガニスタンの戦後復興、イラン、北朝鮮を中心とする核拡散問題、テロとの戦い、本土防衛、そして台頭する中国との穏やかな関係の構築を今後のアメリカの大きな課題とみなしている。

ハーバード大学のジョセフ・ナイは、新大統領の課題について次のように語っている。「最優先の課題は、テロと大量破壊兵器(WMD)の脅威への対応だ。第二の課題は、世界におけるアメリカの名声と信頼を再生すること。第三の課題は、中国の台頭にどう対処し、東アジアの安定をどう図っていくかだ」。

次期大統領の外交課題

2004年9月号

司会     
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
スピーカー  
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー  
グレアム・アリソン/ハーバード大学教授  
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授  
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

核武装のドミノ倒しが起きる?

リチャード・ハース まず、簡単にスピーカーの紹介を。 ……

 まずハーバード大学のグレアム・アリソン(Graham Allison)から。彼は、ケネディ・スクールの学院長を経て、クリントン政権の国防次官補として、ロシア、旧ソビエトへの政策を担当した。著書にキューバ危機を描いた『決定の本質』(中央公論新社、一九七七)などがある。

 さて、ブッシュ政権の先制攻撃ドクトリン、つまり、学会ではこれまで予防攻撃と呼ばれてきた戦略ドクトリンはかなりの論争を呼んだ。ブッシュとケリーのどちらが選ばれるにせよ、次期大統領は、今後イランや北朝鮮の核拡散の脅威に直面させられることになる。イラクをめぐって大きな論争が起きたとはいえ、ブッシュ、あるいはケリーは、大統領としてこのような脅威に現実に直面した場合、先制攻撃を検討せざるを得ないだろうか。

グレアム・アリソン そうなると思う。イラクに関してブッシュ大統領が必要なら単独でも武力行使を辞さないという姿勢を貫いたこと自体に問題はないと私は考えている。ブッシュ大統領はわれわれが直面している最大の脅威はテロリストが大量破壊兵器(WMD)を入手することだと語っているし、ケリー候補も同じ見方をしている。ブッシュはテロリストとWMDのつながりを問題にして、イラクとの戦争を開始した。問題はターゲットが違っていたことだ。

 イラクではなく、北朝鮮のほうが深刻な脅威だった。北朝鮮は核燃料の再処理を行い、さらに六個の核兵器を生産できるプルトニウムを保有している。北朝鮮が核兵器や核物質を輸出できるはずはないと考える者は、リビアに何を提供していたかを考えるべきだろう。北朝鮮はリビアに核兵器一個を十分に生産できる核物質を輸出していた。……

*邦訳文は、二〇〇四年七月下旬にボストンのハーバード・クラブで行われた米外交問題評議会ミーティングでの発言からの抜粋・要約。発言や質疑応答の順序を入れ替えている部分がある。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

イラク占領の何が問題だったのか
――CPA顧問が振り返る占領の真相

2004年9月号

ラリー・ダイヤモンド/前暫定占領当局(CPA)上席顧問

「国家が崩壊している戦後の環境にあっては、治安の安定が何にもまして重要になる。治安こそ、その他の社会活動のすべてを支える基本である。最低限の治安がなければ、貿易も商業もできないし、社会を組織して再編することもできない。ましてや市民が政治に参加することもない。治安が確保されていなければ、そこにあるのは混乱、不信、絶望だけだ。ベトナムの時と同様に、ワシントンはいまにも風向きが変わると考え続け、民衆の不満の深さを理解しようとしなかった」

イラク戦争とジョージ・ブッシュ

2004年8月号

ボブ・ウッドワード/ワシントン・ポスト紙編集局次長
ニコラス・レマン/コロンビア大学ジャーナリズム学部長

「私はこれまでつくってきた人脈をたどり(イラク戦争に関する)情報メモをつくった。閣僚や政府高官からも情報を得た。そして最終的にこれらイラク戦争に関する情報を二十一ページのメモにまとめ、これが私なりに考える『これまでに起きた経緯、あなたが決断を下した重要なターニングポイントです』と書き添えてブッシュ大統領に送った。すると、コンドリーザ・ライスが『(大統領のインタビューをとれようが、とれまいが)この本を書くつもりですね』と言ってきた。私は『そのつもりだ』と答えた」

邦訳文は、ブッシュ大統領のインタビューを軸にイラク戦争を検証した『攻撃計画』を出版したボブ・ウッドワードを迎えて、二〇〇四年六月に米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラム議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

北朝鮮核危機の行方
――1994年核危機の教訓を生かせ

2004年8月号

スコット・スナイダー/アジア財団シニア・アソシエート

6者協議を進展させるつもりなら、ワシントンはソウルとの同盟関係の修復を図って立場の違いを少なくし、対北軍事路線をめぐる米韓の間の亀裂に平壌がつけこめないようにしなければならない。北朝鮮は、これまでもアメリカの怠慢と無関心につけこんできた。ワシントンが焦点の定まらない態度をとり続ければ、第2次北朝鮮危機は壊滅的な事態に直面する。政権交代を漫然と待っているのは、ワシントンにせよ、北朝鮮にせよ、真っ当な戦略とはいえないだろう。

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