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北朝鮮に関する論文

朝鮮半島のデタントを実現するには
―― 変化した北朝鮮にどう向き合うか

2025年7月号

ジョン・デルーリ ジョン・カボット大学 客員教授

韓国が、北朝鮮との外交交渉を実現するには、「北朝鮮の完全非核化」や「朝鮮半島の統一」という非現実的なレトリック、そして「制裁を通じて北朝鮮の行動を変えられる」という幻想を放棄しなければならない。一方で、トランプの劇場型アプローチを李大統領の現実主義的なアプローチで補完する必要もある。金正恩は北朝鮮の経済問題と将来の繁栄をもっとも気にしている。半島統一という非現実的な展望を退け、北朝鮮の完全な非核化に固執するのをやめ、平壌に健全な経済発展への道筋を提示できれば、デタントの可能性は開けてくる。

反欧米枢軸と中国の立場
―― 北京はロシア、北朝鮮をどうみているか

2025年4月号

セルゲイ・ラドチェンコ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際問題研究大学院 特別教授

中国は、ロシア、北朝鮮、イランとある種の「枢軸」を形成しているという考えに激しく抵抗している。平壌の金正恩政権は、北京のいら立ちの大きな原因だし、中ロは協力しているとしても、その関係は同盟ではなく、「無制限」のパートナーシップからもかけ離れている。要するに、中国は、信頼できないメンバーで構成される反欧米枢軸を率いてアメリカと対立することが正しいのか、確信が持てずにいる。これは、ワシントンが、封じ込めの準備をしつつも、新たな外交努力を通じて中国の意図を試すチャンスを手にしていることを意味する。ワシントンは中国に、ウクライナでの戦争を終わらせるためにロシアを交渉テーブルに着かせる直接的な役割を与えるべきではないか。

韓国の核武装を認めよ
―― 北朝鮮の脅威とアメリカの干渉

2025年2月号

ロバート・E・ケリー 釜山大学政治学部 教授
キム・ミンヒョン 慶熙大学政治学部 教授

大陸間弾道ミサイルを開発した平壌は、いまや核兵器でアメリカの都市を攻撃する能力をもっている。このために、アメリカが(自国が反撃されるリスクを冒しても)韓国への安全保障コミットメントを果たすかどうかがいまや問われている。しかも、米韓同盟を批判してきたドナルド・トランプが大統領としての2期目を迎える。北朝鮮の核の兵器庫が拡大し、トランプ政権下のアメリカが後ろ盾としての信頼を失うにつれて、韓国の市民やエリートの核武装オプションへの支持は高まる一方だ。問題は、ワシントンが韓国の核武装路線に否定的なことだ。同盟国が危険にさらされたままの状態にあることを求めるのではなく、ワシントンは、ソウルが安全保障への道を自ら見つけることへの障害を取り払うべきだろう。

反欧米ブロックへの強硬策を
―― 中露分断策の不毛

2025年1月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学国際問題研究所 センターフェロー

中国、ロシア、イラン、北朝鮮という枢軸メンバー間の相互関係の深さを推定したり、彼らを引き離そうと努力したりするのではなく、ワシントンは、これらを独裁国家のブロックとして扱い、同盟諸国にも同様の対応をとるように働きかけるべきだ。中国を枢軸のリーダーとして扱い、ある枢軸メンバーが好ましくない行動をすれば、(中国を含む)他の枢軸メンバーにもペナルティを課すようにすべきだ。ロシアの戦争努力を支援する中国企業だけに制裁を科すのではなく、アメリカは中国という国を対象に経済制裁を実施する必要がある。そして、ロシアが交渉テーブルに着くまで、制裁は継続すると北京に伝える。もはや代替策は存在しない。

ウクライナ戦争の世界化
―― 「非ヨーロッパ化する戦争」の意味合い

2024年12月号

マイケル・キマージ 米カトリック大学 歴史学部 教授
ハンナ・ノッテ 戦略国際問題研究所 シニアアソシエイト

ヨーロッパは、何世紀もの間、自国のパワーを対外的に誇示してきたが、いまや非ヨーロッパ諸国がパワーを誇示する舞台となりつつある。ブリュッセル、キーウ、ワシントンは、この新しい現実と折り合いをつけなければならないだろう。北朝鮮など、ロシアに兵士や軍需品を提供する国は、ウクライナを実験場として利用することで、将来自分たちが戦うかもしれない戦争に備えようとしている。戦争の流れを形作るか、戦争を終わらせる交渉に参加することで、ウクライナ戦争後のヨーロッパ形成のプレーヤーに自国を位置づけようとする非ヨーロッパ諸国もある。その多くは、ウクライナの復興にも関与してくると考えられる。

中国を枢軸から切り離すには
―― 食い違う、中国と他の枢軸メンバーの利益

2024年12月号

スティーブン・ハドリー 元米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

中国と他の枢軸メンバーの利益は必ずしも一致していない。ワシントンは、それぞれの地域でロシア、イラン、北朝鮮に効果的に対抗することで、「敗者の枢軸」に中国を縛り付けることが、世界的影響力を得るための道ではないことを北京に示す必要がある。ロシアに兵器を提供すれば、中国に制裁が広く適用され、かなりの経済的コストに直面する。イランとその代理人たちの活動は、重要な石油資源を含む中国と中東の貿易を混乱させる。枢軸パートナーの冒険主義を厳格に抑え込めば、ワシントンは習近平に軌道修正を促せるし、そうすることは彼の利益にもなる。

力による平和の復活
―― 二期目のトランプ外交を描く

2024年8月号

ロバート・C・オブライエン 前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

トランプがアジアの同盟諸国に防衛にもっと貢献するように求めるのは、相手を不安にすると考える評論家もいる。だが現実には、「同盟関係は双方向の関係であるべきだ」というトランプの率直な発言の多くを、アジア諸国は歓迎し、トランプのアプローチは安全保障を強化すると考えている。トランプは(19世紀初頭に米大統領を務めた)アンドリュー・ジャクソンと彼の外交アプローチを高く評価している。「そうせざるを得ないときは、焦点を合わせた力強い行動をとるが、過剰な行動は控える」。トランプ二期目には、このジャクソン流のリアリズムが復活するだろう。ワシントンの友好国はより安全で自立的に、敵国は再びアメリカパワーを恐れるようになるだろう。

アジアとトランプの脅威
―― 不安定化リスクにどう備えるか

2024年8月号

ビクター・チャ ジョージタウン大学教授(政治学)

オーストラリア、日本、韓国という緊密な同盟国を含む、インド太平洋におけるすべての米同盟国は、トランプ二期目が新たな問題を突きつけてくる事態にもっと危機感をもつべきだ。トランプは、バイデン政権とアジア諸国がまとめた防衛、経済・貿易構想の再交渉を求めるか、解体を試みるかもしれない。同盟国をこれまで以上に貿易上の敵対国とみなし、アメリカの軍事プレゼンスの削減を試みるだろう。独裁的指導者たちと親交を深め、アジアの核不拡散環境を揺るがし、朝鮮半島の核武装化を刺激する恐れさえある。

ロシア・北朝鮮同盟と中国の立場
―― 不安定な権威主義連合の行方

2024年4月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学 国際問題研究所 センターフェロー

ロシアは平壌が長年望んできた高度な軍事技術を北朝鮮に売り渡すことを選んだ。中国がオファーしない利益をロシアが進んで提供してくれるために、平壌はモスクワに近づき、いまや北京は北朝鮮に対する手だての多くを失っている。一方、ロシアが北朝鮮に軍事支援を求めたという事実は、モスクワが北京から受けている物的援助がいかに少ないかを示している。実際、北朝鮮やロシアと連帯しているとみなされることのリスクを認識している北京は、むしろ、公の場では、この2カ国から距離を置こうとしている。中露・北朝鮮関係の歴史から現状を分析すれば、何がみえてくるか。

北朝鮮とロシア
―― 変化した関係の本質

2023年10月号

スコット・A・スナイダー 米外交問題評議会 シニアフェロー(朝鮮半島担当)

ごく最近まで、北朝鮮とロシアの関係は必ずしもスムーズではなく、双方は共有する利益を特定できない状況にあった。だが、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻が、両国間の政治的ニーズと物質的利益の共有基盤を提供した。とはいえ、北朝鮮がロシアに提供できるのは、旧式の大砲やロケットシステムで、殺傷力はあるが、近代的な誘導システムを備えていない。一方で、北朝鮮がロシアに求める支援には、ミサイルや人工衛星の先端技術や食糧支援などが含まれる。中国・北朝鮮・ロシアの国家連合は、日米韓の協調関係に比べれば、依然としてまとまりがないが、北東アジアにおける対立する連合の出現は、今のところ、ブロックとは呼べないとしても、朝鮮半島における南北間および北東アジアにおける地域間の緊張を高めることになるだろう。・・・

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