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中東に関する論文

米外交問題評議会リポート
「軍事的対テロ戦争」では問題は解決しない

2002年7月号

◎スピーカー ブレント・スコークロフト ブッシュ・フォード政権大統領補佐官 カーター政権大統領補佐官 ズビグニュー・ブレジンスキー  クリントン政権大統領補佐官  サミュエル・バーガー クリントン政権大統領補佐官  ◎司会 CNN上席副会長 フランク・セスノ

アメリカ市民を対テロ作戦に動員する努力、テロの危険を世界に認識させる努力はうまくいっている。だが、政府はテロ問題にばかり焦点を絞るという間違いを犯している。これでは、非常に複雑で、混乱している世界の現実に目を向けず、そうした現実がつくり出す一つの現象であるテロ問題だけに、取り憑かれたように関心を持ってしまうことになる。(Z・ブレジンスキー)

サウジ王国の苦しみ

2002年6月号

エリック・ルーロー 元駐トルコ・フランス大使

米メディアからは対米テロをめぐって批判され、国内でも、経済不振、そして社会的緊張と反米主義の高まりに悩まされるサウジアラビア政府はいまや身動きがとれなくなり、王族内の改革派も、保守派が牛耳る政治・宗教システムの囚われ人となっている。近代化と経済発展を促進しようとするアブドラ皇太子の決意は本物だが、その改革の規模とペースは、彼の意図ではなく、むしろ、矛盾に満ちたこの国の政治力学とグローバル化が呼び込む外的圧力の綱引きによって左右されることになろう。

アフガニスタンでの戦争を総括する
――なぜビンラディンを取り逃がしたのか

2002年6月号

マイケル・オハンロン ブルッキングス研究所シニア・フェロー

アフガニスタンの国内勢力をうまく反タリバーン勢力としてまとめ上げ、新旧の技術を「統合的軍事作戦」として結実させた「不朽の自由作戦」は、マッカーサーの仁川攻略以来の記念碑的な戦いとして評価されることになるかもしれない。しかし、ビンラディンと彼の側近たちがアフガニスタンからの脱出に成功していたり、アフガニスタンが今後再び不安定化し、テロリストが少数でもこの国に居座り続けたりすれば、現在の勝利も色あせたものになる。なぜ、米軍はアルカイダの退路を断つという最も重要な作戦を、パキスタン軍や現地の軍事勢力に任せるという間違いを犯したのか。

パレスチナ紛争と中東政治の現実

2002年6月号

スピーカー
ジルス・ケペル/パリ行政学院政治学教授(アラブ・イスラム研究)
サンドラ・マッケイ/コラムニスト
ワイチェ・フォーラー/前駐サウジ・アメリカ大使(一九九六~二〇〇一)
司会
デボラ・エーモス/ABCニュース報道記者

出口が見えないパレスチナ紛争は、ブッシュ政権が準備を進めるイラク進攻作戦にどんな影響を与えるのか。中東に恒久的な和平の枠組みをつくる流れは生まれるのか。以下は、二〇〇二年四月十五日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれた欧米の専門家による座談会の議事録からの要約・抜粋。(発言順を入れ替えている部分もある)

シャロンの真意はどこにあるのか
――国内政治とパレスチナ強硬策の行方

2002年5月号

アルフ・ベン ハーレツ紙外交担当記者

左派、右派からの相矛盾する要請によって国内的に身動きがとれず、一方で、対パレスチナ強硬策を継続すれば、アメリカの支援を失う。加えて、経済はほぼゼロ成長状態であり、失業率も悪化している。行動の人、シャロンも、経済的・政治的危機を前に身動きのとれぬ状態に追い込まれている。アラファトを打ちのめしたいと願いつつ、国内的に時間稼ぎをして政治的に持ちこたえたとしても、高まる一方の国内経済の回復を求める声を前に、シャロンが今後事態を統御していく力を失っていくことは避けられない。

大局的な最終合意案を示せ

2002年5月号

フセイン・アガ  オックスフォード大学シニア・アソシエート・メンバー   ロバート・マリー クリントン政権アラブ・イスラエル問題担当大統領特別補佐官

数多くの暫定措置がつくりだした悪循環の中、イスラエルは、テロ攻撃を受けている間は交渉できないと信じ、パレスチナ側は、攻撃しなければイスラエルは交渉に応じないと恐れている。殺し合いを確実に食い止める手段はただ一つ、問題の本質を解決し、紛争そのものを具体的かつ公正に解決するような最終合意案を両陣営に示し、これを国際的監視の下で実現していくことだ。課題は、イスラエルとパレスチナの意向に沿うように和解努力を調整することではない。むしろ重要なのは、双方の指導者の能力の限界や意図によって左右されない和平の枠組みをつくることだ。

パレスチナの反乱は終わらない

2002年5月号

クリス・ヘッジ ニューヨーク・タイムズ紙記者

パレスチナの子どもたちは、幼いころから民族主義と復讐の責務を聞かされて育ち、イスラエルに対する反発は世代を超えて社会に浸透している。貧困の中で困難な生活を余儀なくされている占領地の人々にとって、抵抗運動を繰り広げることこそ生活の中で最も没頭できることなのかもしれない。「かつてのインティファーダの英雄たちの時代は去り、今や幅を利かせているのは、ファタハの腐敗とは無縁な、髭を伸ばしたイスラムの戦士たちである」。

中央アジアを安定化させるには

2002年5月号

ポーリーン・ジョーンズ・ルオン  イエール大学政治学助教授 、エリカ・ウェインソール テルアビブ大学政治学助教授

中央アジア各国の政治的抑圧体制ゆえにイスラム主義運動が過激化し、民衆を過激派への支持へと向かわせている。これが秩序の不安定化を招き、さらに、穴だらけの国境線を越えて兵器や過激派が自由に移動していることが状況をさらに深刻にしている。過酷な抑圧体制を敷くウズベキスタンを、ブッシュ政権が、対テロ戦争との関連で中央アジアの覇権国に仕立て上げれば、地域秩序はますます不安定化する。イスラム原理主義の脅威をもっぱら軍事問題としてとらえれば、水資源をめぐる紛争、麻薬、難民、武器の流出入など、テロを招いた根本的問題への対応が放置され、不安定な状態が続くことになるからだ。

イスラム世界とメディアの攻防

2002年5月号

デイビッド・ホフマン 「インターニュース・ネットワーク」代表

アメリカの正義や価値観をいかに訴えかけても、イスラム世界の反米感情がなくなることはない。政治的失策への市民の不満の矛先を、自国政府ではなく、アメリカに向かわせてガス抜きさせるという、アラブ社会の安全弁としての国営メディアが存在するからだ。グローバル社会にイスラムの人々が参加できるようにするには、まずイスラム社会の市民が情報へのアクセスと表現の自由を享受できるようにし、女性やマイノリティーに発言権を認めなければならない。イスラム社会が表現の自由を獲得して初めて、テロが生まれた暗闇に日が差し込むようになる。

イラクを攻撃すべきこれだけの理由

2002年4月号

ディレクター チャールズ・ボイド  元駐留NATO米軍副司令官 、 共同議長 リチャード・ホルブルック 前米国連大使、 カーラ・ヒルズ  元米通商代表部代表

以下は、米外交問題評議会が米同時多発テロ後に組織した「テロリズムに関するタスクフォース」の研究会報告からの抜粋。タスクフォースには、シャリカシュビリ元統合参謀本部議長、ブラウン前国防長官、ルービン前財務長官、アジャミー・ジョンズ・ホプキンス大学教授、ナイ・ハーバード大学教授、ウェブスター元CIA及びFBI長官、ウィールジー元CIA長官、ジョージ・ソロス氏らが参加している。

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