1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

日本に関する論文

日中関係はどこへ向かうのか
 ――政治化された歴史とライバル意識の行方

2006年3月号

ケント・E・カルダー  ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー・センター所長。

小泉首相の個人的、政治的思惑が何であるにせよ、そして、その意図がうまく理解されていないとしても、彼の靖国参拝は、国際的に日本の外交路線を大きく誤解させる火種をつくり出し、日本と中国の指導者が2国間の経済・安全保障関係を管理していくのをますます難しくしている。しかし、ポスト小泉の指導者は大きな機会を手にすることになる。新首相は、日中の首脳会談を復活させ、エネルギー・環境問題をめぐる中国との対話路線を強化し、世俗的な戦没者追悼施設建設の可能性を模索し、靖国神社への参拝を慎むことができる。こうした路線をとれば、日本は外交的な優位をつくり出せるし、日本と中国は、とかく政治的論争となりがちな歴史問題に気を奪われることなく、両国の関係の安定化という真の課題に取り組めるようになるだろう。

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

核拡散問題を検証する
――日韓は北朝鮮の核にどう反応するか

2005年6月号

スピーカー
ピーター・ヒューシー/米国防大学基金シニア・アソシエート
チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会フェロー
司会
カーラ・ロビンス/ウォールストリート・ジャーナル外交担当チーフ・コレスポンデント

アメリカが前方展開軍を維持し、核の傘を提供し続ける限り、日韓が核武装に踏み切ることはあり得ない。だが、米軍が朝鮮半島から撤退するとなれば、話は違ってくる。(P・ヒューシー)

北朝鮮が公然と核実験を行った場合、これに対して真っ先に核武装化に踏み切るのは、韓国ではなく、日本だろう。最初に倒れるドミノが日本、そして次がおそらく韓国になるだろう。(C・ファーガソン)

中国の経済と貿易の行方

2005年5月号

スピーカー
カーラ・ヒルズ/元米通商代表
シャーリーン・バーシェフスキ/前米通商代表
司会
リオネル・バーバー/フィナンシャル・タイムズU・S・マネージング・エディター

現在でも日本が受け入れている外国投資の規模はポルトガルへの外国からの投資規模と変わらない。外国からの直接投資、そして輸入の受け入れについて、日本はいまも開放的とはいえない。一方、中国は輸入に国内市場を開放している。この点からも中国を保護主義的だと槍玉に挙げるのは難しい。(ヒルズ)

どのような人民元対策であれ、中国は、それによって経済成長が損なわれず、雇用創出のペースが鈍化しないような措置しかとらないだろう。というのも……現在北京は、雇用創出と社会の安定は不可分の関係にあるととらえているからだ。(バーシェフスキ)

邦訳文は、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたコーポレート・プログラムでの世界貿易をテーマとする討論における中国に関する議論の抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

台頭する中国と米・東アジア関係

2005年2月号

スピーカー
エリック・ヘジンボサム/米外交問題評議会シニア・フェロー
エドワード・リンカーン/米外交問題評議会シニア・フェロー
アダム・シーガル/米外交問題評議会シニア・フェロー
司会
ナンシー・ローマン/米外交問題評議会シニア・フェロー

北朝鮮の問題同様に深刻なのが、アメリカと韓国の関係だ。「アメリカの政府官僚、アジア地域専門家は、日本のことはグローバルなパートナーとみなしても、韓国をそのようにはみなくなるかもしれない。米韓関係が深刻な問題を抱え込むことになるかもしれない。いまのところ、地政学のバランスに配慮した平衡感覚が働いているが、アメリカが韓国から全面撤退してもおかしくないとみられるような言動をみせるようになれば、朝鮮半島をめぐって、韓国ではなく、中国がもっと大きな課題として浮上してくる」

邦訳文は二期目のブッシュ政権とアジアをテーマに行われた米外交問題評議会のワシントン・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

以下は、これまでに発表された北朝鮮関連のフォーリン・アフェアーズ論文、米外交問題評議会リポート、ガーズマン・インタビューシリーズなどを資料にフォーリン・アフェアーズ・ジャパンで作成したQ&A集。資料として用いた論文、リポート、インタビューの一部は、www.cfr.org、www.foreignaffairs.orgあるいはwww.foreignaffairsj.co.jpからアクセスできる。参考文献については文末を参照。

北朝鮮危機とアメリカの東アジア戦略の大転換
―米戦略の重心は日本から中国へ?

2003年7月号

モートン・アブラモウィッツ 元カーネギー国際平和財団会長
スティーブン・ボスワース 元駐韓米大使

中国の経済的・地政学的台頭、日本の地域的影響力の低下、自主路線を強める韓国、そしてアメリカの対テロ戦略。北朝鮮危機の背後で展開するこれら一連のトレンドは、アメリカの東アジア戦略を大きく変化させ、アジアの安全保障地図を大きく塗り替えることになるだろう。
すでにアメリカは中国とより緊密な関係を築き始め、アメリカにとっての日本の戦略価値は大きく低下している。北朝鮮危機、中台問題はどうなるのか。韓国、日本の駐留米軍は撤退するのか。

日本経済改革の政治的ジレンマ
―失われた十年から改革の十年

2003年1月号

リチャード・カッツ オリエンタル・エコノミスト・リポート誌シニアエディター

経済改革の真価は、改革措置が、経済成長の妨げとなっている供給面での非効率と需要の低迷という問題の解決に寄与するかどうかで判断すべきだ。だが人々が目にしているのは、もっとも再編が必要でない産業での再編、もっとも切実に改革が必要とされている領域での形ばかりの改革にすぎない。
だが日本人もついに「改革を断行しない限り、状況が改善されないこと」を確信し始めた。制度改革以外の選択肢のすべてを試み、それらが機能しないことがもはや明白になってきたからだ。失われた十年は改革が必要なことを納得するためのもので、次の十年は、実際に改革を実施するための時間となろう。

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