NATOを中枢に据えた
グローバルな安全保障ネットワークを形成せよ
2009年9月号

第二次世界大戦後のグローバル秩序が形骸化すると同時に、パワーが分散し、世界の大衆の政治的覚醒に伴う状況への反発が高まっている。これらが重なり合って、一触即発の危険な状態が生じている。この現実を踏まえて、NATOの集団安全保障条項を再定義し、NATOとロシア・旧ソビエト諸国の関係、NATOと中国、日本、インドとの関係を、グローバルな安全保障ウェブの一部として関連づけていく必要がある。中国、日本、インドとNATOの共同理事会の立ち上げも視野に入れるべきだろう。だが、一部で提言されているように、NATOをグローバルな同盟関係に変貌させたり、グローバルな民主国家連盟へと拡大させたりするのは良い考えではない。そうではなく、NATOが様々な地域的安全保障協調枠組みのネットワークの中枢を担う経験、制度、手段を備えていることを認識した上で、ロシア、旧ソビエト諸国、中央アジア、アジアとの安全保障上の連携を試みるべきだ。