
多くの人が指摘するように、ヨーロッパでは危機への対応疲れがみられる。これは、ユーロゾーン全域でみられる各国政府に対する批判の高まり、緊縮財政への反発、あるいは反エスタブリッシュメント政党の台頭などからも明らかだろう。・・・さらに、9月に予定されるドイツの連邦議会選挙が終わるまで(そして、ECBの資産購入プログラムに関する独憲法裁判所の判断が示されるまでは)、依然として困難な状況にあるヨーロッパの周辺諸国に支援が提供されることはあり得ない。今後、銀行と政府に対する圧力がさらに高まっていけば、ECBの債券購入計画はたんなるブラフにすぎなかったという疑問が出てくるかもしれない。ユーロメンバー国がECBによる債券購入の条件(コンディショナリティ)をめぐって、スムーズに合意できるとも考えにくいし、ECBが独自に条件を緩和できるとも考えにくいからだ。・・・秋には、ヨーロッパの金融市場の小康状態は終わり、再び変動期に突入することになるかもしれない。