2020.1.17 Fri

<Agenda 2020 アンソロジーVol.46より>  中国対外行動の源泉、人口減少と資本主義の終焉、福祉国家の崩壊とナショナリズムの台頭

中国はかつてのソビエト同様に、共産党が支配する独裁国家だが、違いは国際主義(共産主義インターナショナル)ではなく、ナショナリズムを標榜していることだ。しかも、アジアにおけるアメリカの立場と地位を粉砕しようとする中国の路線は、スターリンのヨーロッパに対する試み以上に固い決意によって導かれているし、中ロ同盟出現の危険もある。何らかの(国家的、社会的)統合要因が作用しなければ、目的を見据えて行動するアメリカの能力の低下によって、多くの人が考える以上に早い段階で、恐れ、憎しみ、野望によって人間の本能が最大限に高まるような制御できない世界が出現する危険がある。(ウェスタッド)

人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。人口規模の小さな高齢社会では消費レベルも低下するからだ。既存の金融・経済システムが覆されることを別にすれば、これに関して、本質的な問題はない。今後、人口比でみれば、十分な食糧が供給され、潤沢に商品が出回るようになるかもしれない。気候変動への余波も緩和されるだろう。だが、資本主義はうまくいってもぼろぼろになり、悪くすると、完全に破綻するかもしれない。(カラベル)

1980年代以降、先進国のエリートたちは、政策決定を市民への説明責任を負わない官僚や超国家組織に委ねてしまった。これが、欧米で「ポピュリスト・ナショナリズム」を急激に台頭させる環境を作り出した。ナショナリズムジレンマを解くには、レッセフェール政策そして説明責任を負わない超国家主義を放棄し、国際機関との経済的調整といった戦後リベラリズムの基本的やり方を復活させなければならない。(スナイダー)

中国対外行動の源泉
―― 米中冷戦と米ソ対立の教訓

2019年9月号 オッド・アルネ・ウェスタッド  イェール大学教授(歴史・国際関係)

中国はかつてのソビエト同様に、共産党が支配する独裁国家だが、違いは国際主義(共産主義インターナショナル)ではなく、ナショナリズムを標榜していることだ。ソビエト以上の軍事・経済的なポテンシャルをもち、同様に反米主義のルーツを国内にもっている。しかも、アジアにおけるアメリカの立場と地位を粉砕しようとする中国の路線は、スターリンのヨーロッパに対する試み以上に固い決意によって導かれているし、中ロ同盟出現の危険もある。何らかの(国家的、社会的)統合要因が作用しなければ、目的を見据えて行動するアメリカの能力の低下によって、多くの人が考える以上に早い段階で、恐れ、憎しみ、野望によって人間の本能が最大限に高まるような制御できない世界が出現する危険がある。

人口減少と資本主義の終焉
―― われわれの未来をどうとらえるか

2019年10月号 ザチャリー・カラベル  作家、コラムニスト、投資家

ゼロ成長やマイナス成長の社会ではいかなる資本主義システムも機能しない。その具体例が、高齢化し、人口が減少している日本だ。人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。人口規模の小さな高齢社会では消費レベルも低下するからだ。既存の金融・経済システムが覆されることを別にすれば、これに関して、本質的な問題はない。今後、人口比でみれば、十分な食糧が供給され、潤沢に商品が出回るようになるかもしれない。気候変動への余波も緩和されるだろう。だが、資本主義はうまくいってもぼろぼろになり、悪くすると、完全に破綻するかもしれない。今後、世界の人口が減少してゆけば、経済成長は起きるだろうか。この設問にどう応えるかの準備ができていないだけでなく、どう答えるかさえ考え始めていない。これが世界の現実だ。

福祉国家の崩壊とナショナリズムの台頭
―― ナショナリズムはいかに復活したか

2019年3月号 ジャック・スナイダー コロンビア大学教授(国際関係論)

1980年代以降、先進国のエリートたちは、かつて政府が資本主義を制御するのを可能にした(社会保障制度などの)政治的管理体制を新自由主義の名の下に段階的に解体し始め、国の民主的体制を国際市場のロジックに適合するように見直しただけでなく、政策決定を市民への説明責任を負わない官僚や超国家組織に委ねてしまった。これが、欧米で「ポピュリスト・ナショナリズム」を急激に台頭させる環境を作り出した。ナショナリズムジレンマを解くには、レッセフェール政策そして説明責任を負わない超国家主義を放棄し、国家レベルでの民主的説明責任、競合する優先課題をめぐる妥協、そして国際機関との経済的調整といった戦後リベラリズムの基本的やり方を復活させなければならない。

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本誌最新号紹介

2020年1月号(2020年1月10日発売)

Contents

  • 資本主義の衝突
    ―― 「民衆の資本主義」か「金権エリート資本主義」か

    ブランコ・ミラノヴィッチ

  • アメリカの危険な対中コンセンサス
    ―― チャイナスケアを回避せよ

    ファリード・ザカリア

  • 中東における全面戦争のリスク
    ―― 何が起きても不思議はない

    ロバート・マレー

  • 貿易と移民と労働者
    ―― 保護主義はなぜ間違っているか

    キンバリー・クラウジング

  • 温暖化への適応か国の消滅か
    ―― 気候変動が引き起こす大災害の衝撃に備えよ

    アリス・ヒル、レオナルド・マルティネス=ディアス

  • 監視資本主義と暗黒の未来
    ―― ビッグテックとサーベイランスビジネス

    ポール・スター

  • 国家とGAFAの攻防
    ―― 5Gとクラウドをめぐる本当の闘い

    スコット・マルコムソン

  • CFR Briefing
    中国のイスラム教徒収容所
    ――なぜウイグル人を弾圧するのか

    リンジー・メイズランド

他全9本掲載

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