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習近平思想と中国社会
―― マルクス主義と儒教の出会い

ラナ・ミッター ハーバード大学 ケネディスクール教授

The Real Roots of Xi Jinping Thought: Chinese Political Philosophers’ Long Struggle with Modernity

Rana Mitter イギリスの歴史家、政治学者で、現在はハーバード大学ケネディスクール教授。著書にChina's Good War: How World War II Is Shaping a New Nationalismがある。

2024年4月号掲載論文

過去1世紀における中国の政治思想家たちは、未来の繁栄のためには、過去と完全に決別する必要があると考えがちだった。初期におけるマルクス主義の思想家たちは、「序列や儀礼、理想化された過去への回帰を重視する儒教思想」を激しく批判した。だが、中国の思想家や市民は、中国の伝統に即したやり方で政治環境の変化に対応することが重要だと、一貫して考えてきたようだ。実際、習近平思想のカギは、マルクス主義と儒教を結びつけていることだ。現代中国はマルクス主義を「魂」とし、素晴らしい中国の伝統文化を「ルーツ」と考えるべきだと習は語っている。中国社会が経済的停滞と没価値状況に苦しんでいるだけに、この、イデオロギーと国家アイデンティティーの再定義は、大きな意味合いをもつことになるかもしれない。

  • マルクスと孔子
  • 哲学者と王
  • 崩壊する自負心
  • 伝統的な対処法

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