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中国における宗教の覚醒
―― アイデンティティではなく、
コミュニティとしての宗教

イアン・ジョンソン ジャーナリスト

China’s Great Awakening ―― How the People’s Republic Got Religion

Ian Johnson ジャーナリスト。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の北京特派員記者だった2001年に法輪功に関する報道でピューリッツアー賞を受賞。現在も中国からニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーカー誌などに寄稿。この論文はアメリカで4月に刊行予定の新著The Souls of China: The Return of Religion After Maoの一部をまとめたもの。

2017年4月号掲載論文

経済一辺倒だった社会に、どうすれば社会的一体感や価値を取り戻せるだろうか。この数十年にわたって、中国では宗教的伝統が激しく弾圧され、そこにあるのはむき出しの資本主義だけだった。精神的な支えを求めるのは人間の普遍的な願望だ。中国人も世界の人々と同じように、自分の希望は政府や法律を超えた何かによって支えられていると信じている。現在の中国では、多くの人が社会に疑問を抱き、宗教色の希薄なこの国の世俗的な社会では見つからない答えを求めて宗教や信仰に目を向けている。彼らは、良い生活とはどのようなもので、物質的な豊かさを超える大切なものがあるのかどうかを知りたがっている。問題は、中国では歴史的に、宗教とはアイデンティティではなく、コミュニティに関わるものとみなされてきたこと、しかも、「多様な宗教を背景とするコミュニティ」が近代化の途上で破壊されてしまっていることだ。

  • 物質主義を超えて
  • コミュニティを束ねる宗教
  • 近代化のために迷信を破壊せよ
  • 共産党による宗教弾圧
  • 中国にとって宗教とは何か
  • 宗教の台頭
  • 「中身を失った」社会
  • 教会と国家
  • 宗教の意味

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