1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

テーマに関する論文

未曾有のエネルギー危機
―― イランとホルムズ海峡

2026年4月号

マイケル・フロマン 米外交問題評議会会長
ダン・ポネマン 元エネルギー省副長官
ジェイソン・ボルドフ コロンビア大学 グローバル・エネルギー政策センター所長

(ホルムズ海峡を経由しない)サウジアラビアのパイプラインの価値は(積み出し港である)ヤンブー輸出ターミナルのキャパシティによって制約される。同ターミナルは最大で1日あたり約450万バレルを輸出できるように設計されているが、実際にはそれよりはるかに低い能力しかない。さらに、その輸出ターミナルやそこで積み込み可能なタンカーは、フーシ派の攻撃にさらされる危険がある。(ダン・ポネマン)

現状は、中国の長期的なエネルギー安全保障戦略の正しさを裏付けている。中国は、経済の電力化を促進することで石油輸入を抑制し、石炭や再生可能エネルギーなどの国内資源からより多くの電力を生産すること、そして約14億バレルに達する巨大な戦略石油備蓄を強化することに重点を置いてきた。(ジェイソン・ボルドフ)

いかなる手段を用いても、湾岸地域から十分な量の石油を運び出すことはできない。パイプライン、備蓄放出、浮体式貯蔵施設からの放出を考慮に入れても、おそらく1日あたり1000万バレル以上の供給不足が生じると考えられる。(マイケル・フロマン)

危険な世界にいかに備えるか
―― 問われる日本の安全保障戦略

2026年4月号

岡野正敬 前国家安全保障局(NSS)局長

いまや人々は、かつてより外交政策を注意深く見守り、自分の立場を支える情報を消費する傾向がある。それだけに、国家安全保障の実務を担当する者は、過去の担当者たち以上に、丁寧にその決定を社会に説明し、擁護していかなければならない。現在の脅威についての理解を社会と共有できなければ、日本が有効な対策を講じるのは難しい。安全保障上の複雑な脅威とアメリカとの新たな関係に適応していくには、強力な防衛力と情報力、そして経済力が求められる。しかし、緊張と分裂の少ない未来を築くためには、外交が必要になる。今こそ外交的エンゲージメントに力を入れるべきだと私は確信している。

キューバはどこへ向かうのか
―― アメリカの圧力とキューバの未来

2026年4月号

ルット・ディアミント トルクァト・ディ・テラ大学 国際関係学教授
ローラ・テデスコ セントルイス大学マドリード校 人文社会科学部副学部長

電力供給は停止し、ガソリンスタンドの待ち時間は数時間に及び、学校は休校し、病院は手術を中止している。ゴミが路上に山積みにされている。もはや、ハバナはほとんど対応能力をもっていない。実際、いつ崩壊してもおかしくはない。トランプが軍事介入に踏み切る可能性は低く、交渉と外交的圧力によってキューバの政治変革を試みるだろう。問題はそこからだ、革命は最終章に近づいているようにみえるが、その終わりがどのようなものになるか、そしてその後何が起こるかは―依然としてわからない。

トランプが開けたパンドラの箱
―― 目標もエスカレーション回避策もない(3/1/2026)

2026年4月号

アリ・バエズ  国際危機グループ(ICG) イラン・プロジェクト ディレクター

今回の「壮絶な怒り」作戦は、パンドラの箱を開けてしまった。そこには、達成可能な明確な目標もなければ、エスカレーションを抑えるための道筋もない。空爆でインフラを破壊し、政府の能力を弱体化させ、指導層を排除できるかもしれないが、まとまりのある政治的代替策を準備することはできない。しかも、イランは革命防衛隊、情報機関、治安部隊といった組織を維持しているし、これらはまさにこのような事態に備えて整備されてきた。アメリカの賭けが「空爆で上からイラン政府を叩き、イラン民衆が地上で政府を倒す」ということなら、その賭けには先例とできるような明確な歴史モデルは存在しない。

イラン民衆は状況をどう捉えるか
―― ハメネイ後のイラン

2026年4月号

カリム・サジャドプール カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

近い将来、歴史家が今回のイラン攻撃作戦を振り返れば、これを「必要に迫られた戦争」ではなく、「選択による戦争」とみなすはずだ。 イランが核兵器を入手したり、アメリカや中東の同盟国やパートナーを攻撃したりする差し迫った脅威は存在しなかった。イラン国内での抗議行動が再び動き出し、拡大していくかどうかは分からない。多くはイラン市民が状況をどう捉えるかによる。政権の抑圧装置が無力化されたかどうかを人々は注意深く見守っている。対外的には、イランが地域戦争を引き起こす危険はある。イラン民衆の分断状況や民族集団間の扇動を考えれば、国の崩壊や内戦に突入していくリスクも排除できない。いまは、問題が山積し、困惑を禁じ得ない局面にある。トンネルの先に光がみえているが、そのトンネルが崩壊するかどうか分からない状況にある。

日本を一人にしてはいけない
―― 中国のアジア太平洋覇権を阻むには

2026年3月号

ダン・ブルメンタール アメリカン・エンタープライズ研究所 シニアフェロー
マイク・クイケン スタンフォード大学フーバー研究所 特別客員研究員
ランドール・シュライバー 元米国防次官補

日米は重要な岐路に立たされている。東京が、中国との長期にわたる対立に備えて大胆な措置をとり続けるなか、ワシントンのコミットメントは揺らいでいる。東京は難しい部分をこなしてみせた。今度はワシントンが立場を強化しなければならない。中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。アメリカは、日本と同盟国にとって台湾有事は存立にかかわるという高市の発言を支持して、同盟国と共にあることを示す必要がある。

人口減少と社会
―― 子育て支援策と人権問題の間

2026年3月号

ジェニファー・D・シュバー 人口統計研究所 理事長

人口の高齢化と減少に伴い、成長率と生産性が大幅に低下するという経済予測があるだけでなく、右派は労働力不足を補うために移民を受け入れれば、国家アイデンティティが損なわれると懸念している。それだけではない。住宅の価格抑制、男女平等の促進、家族支援の強化などの子育て支援策が重視される一方で、人権を無視して、女性を就労から家庭へと押し戻そうとする政府も出てくるかもしれない。出産を個人的選択とみなすのではなく、「善い」市民が国家にとって有益な方法で出産責任を果たすという捉え方には、大きな問題がある。

トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶

2026年3月号

スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)

ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。

ヨーロッパを取り戻す
―― 対米依存の呪縛を解くには

2026年3月号

マティアス・マティス ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際学院准教授
ナタリー・トッチ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際学院ボローニャ校教授

欧州連合(EU)は、アメリカに屈服するのをやめて、より大きな主権を構築しなければならない。ヨーロッパの運命はヨーロッパが握っているという感覚を取り戻す必要がある。戦略的自律性を強化することは、必ずしも、ワシントンとの対立や米欧同盟の放棄を意味しない。重要なのは、必要なときは「ノー」と言い、利害が一致しないときは独自に行動し、ヨーロッパ内で一貫性のあるプロジェクトを維持する能力をもつことだ。防衛体制の強化、貿易の多角化、ヨーロッパ独自の対中政策、そしてエネルギー転換と自律の強化という、構想を進めていく必要がある。

アメリカは信頼できるのか
―― 思い悩むアジアのパートナー

2026年3月号

ジョシュア・クランジック 米外交問題評議会(CFR) シニアフェロー(東南アジア・南アジア担当)

西半球と米本土防衛を重視するトランプ政権は、「アメリカの利益に対する脅威としての中国」という認識を下方修正している。一方、これまでとは違って、 新しい米国防戦略では台湾は言及されていない。国家安全保障戦略でも、アメリカは「台湾海峡における現状の一方的変更」に反対するのではなく、単に「支持しない」とされている。日本のような、アジアにおけるもっとも緊密なパートナーとの防衛関係をめぐっても、アメリカの信頼性は疑問視されている。 いまや全てのアジア諸国がアメリカとのパートナーシップが信頼できるかどうかを再検証している。

Page Top