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「新社会主義運動」の幻想と脅威
―― 富は問題ではない

ジェリー・Z・ミュラー 米カトリック大学歴史学教授

The Neosocialist Delusion Wealth Is Not the Problem

Jerry Z. Muller 米カトリック大学歴史学教授。フォーリン・アフェアーズでは「資本主義の危機と社会保障―― どこに均衡を見いだすか」(2013年4月号)、「なぜ民族は国家を欲しがるか――歴史を規定しつづけるエスノナショナリズムの力」(2008年4月号)を発表している。

2020年2月号掲載論文

資本主義には強さと弱さがある。実際、自由市場を基盤とする資本主義が18世紀に定着して以降、このシステムは長く批判にさらされてきた。一連の改革運動が刺激され、これが19世紀型のレッセフェール(夜警)国家を今日の先進民主国家が導入する混合経済・福祉国家(mixed welfare States)へ変貌させた。かつて「社会民主主義」と呼ばれたシステムを現状で模索する左派勢力も、おおむね似たものを追いかけている。だが、「新社会主義運動」はこれらとは違う。そのルーツは社会民主主義ではない。資本主義を改革するのではなく、むしろそれを終わらせようとする民主社会主義にある。彼らは、金の卵を産むガチョウの健康など気にかけていない。これを当然視した上で、不公正な状況を超富裕層の資産の突出を削り取るという簡単かつ直接的な方法でなくそうとしている。

  • 社会民主主義と民主社会主義
  • 富裕税は何を変化させるか
  • 独占と技術革新の間
  • 格差のリアリティ
  • 技術革新のエンジン

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