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欧米の衰退と国際システムの未来
―― バッファーとしての「リベラルな国際経済秩序」

ロビン・ニブレット 英王立国際問題研究所所長

Liberalism in Retreat ―― The Demise of a Dream

Robin Niblett
英王立国際問題研究所所長。戦略国際問題研究所(CSIS)のエグゼクティブ・バイスプレジデントを経て現職。専門はヨーロッパの政治と安全保障、アメリカの政治と外交政策など。

2017年1月号掲載論文

これまで世界の民主主義空間を拡大させてきたリベラルな国際秩序が、政治的な勢いを取り戻せる見込みはあまりない。格差と失業に悩む現在の欧米諸国は弱体化し、もはやリベラルな政治経済システムの強さを示すシンボルではなくなっているからだ。それでも孤立主義に傾斜したり、代替秩序の封じ込めを試みたりするのは間違っている。そのようなことをすれば、リベラルな国際秩序の擁護派と、それに挑戦する勢力が公然と対立し、偶発的に大掛かりな紛争に発展する恐れもある。希望は、「リベラルな国際政治秩序」は衰退しても、「リベラルな国際経済秩序」が生き残ると考えられることだ。中国やロシアのような統制国家も国の豊かさと社会的安定・治安を確保するには、リベラルな国際経済秩序に依存するしかない。これによって短期的には、民主国家と非自由主義国家が共存する機会が提供され、長期的には、リベラルな民主主義は再び国際秩序における優位を取り戻せるかもしれない。但し、変化に適応できればという条件がつく。

  • 国際システムの衰退
  • 戦後国際システムの誕生と進化
  • なぜポピュリズムが台頭したか
  • 後退するアメリカの世界的余波
  • 「リベラル国家」対「反自由主義国家」
  • 今後の秩序の鍵を握る中国との経済協力
  • 非自由主義的諸国との共存へ

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