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グローバルな公衆衛生の課題(下)
――潤沢な援助がつくりだす新たな問題

ローリー・ギャレット
米外交問題評議会(CFR)シニア・フェロー

The Challenge of Global Health

Laurie Garrett 
ピュリツァー賞受賞ジャーナリストで、ニューズデイ紙医学担当記者、ハーバード大学フェローなどを経て、現在は米外交問題評議会(CFR)のシニア・フェロー(グローバル公衆衛生担当)。専門は新興感染症、再興感染症、バイオテロ、公衆衛生が外交、国家安全保障に与える影響など。

2007年3月号掲載論文

途上国の公衆衛生状況の改善を願いつつも、先進国政府や民間のドナー(資金提供者)は、HIV・AIDSなど、自分たちの関心の高い疾病の管理を求めて、具体的な対策上の数値目標を満たすことを途上国支援の条件にしている。だが、こうした特定の疾患をめぐる数値目標を満たそうと、小児科医や産婦人科医など、他の領域の医療スタッフが動員されているとすれば、先進国による援助は途上国の公衆衛生問題を緩和するどころか、さらに深刻な問題をつくりだす危険がある。むしろ、先進国は、出産時の女性の死亡率を低下させ、平均寿命を高めるという、二つの基本目標を掲げ、その実現に向けて努力していく必要がある。その理由は、安全な出産と平均寿命という二つの指標が向上するとすれば、その他の公衆衛生問題も改善されていることを意味するからだ。この二つの指標に改善がみられなければ、援助によって特定の疾病対策に成功しても、相手国の市民の健康と公衆衛生への貢献はごくわずかなものになってしまう。

  • 先進国へと流出する途上国の人材
  • 援助の弊害と先進国の責任
  • 安全な出産と平均寿命の改善を重視せよ
  • システムと持続性

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