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2025.7.18 Fri

平等と格差の社会思想史
―― いかに経済的繁栄を共有するか

認識すべきは、現状における格差は、機会の不平等よりも、むしろ、機会を生かす能力、人的資本の違いに派生していることだ。この能力の格差は、生まれもつ人的ポテンシャルの違い、そして人的ポテンシャルを育む家族やコミュニティの違いに根ざしている。このために、格差と不安は今後もなくならないだろう。(ミューラー)

冷戦が終わり、平和の時代が続くと、市民の国家コミュニティへの帰属意識も薄れ、福祉国家は深刻な危機の時代を迎えた。財政的理由からだけでなく、個人の責任が社会生活を規定する要因として復活し、ドラッカーから再びシュンペーターの時代へと移行するなかで、社会的危機という概念そのものが形骸化している。(ロザンヴァロン)

「民主的資本主義」体制下で、格差が拡大したために、民主主義も困難な状況に追い込まれている。すでに権威主義体制などの、厄介な政治的代替制度に目を向ける人々もいる。国内のあらゆる人に一定の金額を支払うベーシックインカムを利用すれば、格差トレンドを逆転させることができると考える専門家もいる。(アセモグル)

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