Focal Points

2022.6.9 Thu

<6月号プレビュー>
そして「欧米と中露」の対立へ、ロシアとの連帯という幻想、戦争をいかに終結させるか

変化の源流は第二次世界大戦期にあり、冷戦期に流れは大きくなった。西側を基盤に戦後に形成された欧米の勢力圏が各国に繁栄と平和を提供しているのに対して、ロシアがウクライナで、中国がアジア地域およびアジアを越えて形成しつつある勢力圏は閉鎖性と強制を特徴とする。現在の中国は、外からの封鎖や制裁に耐えられるように、戦争を別とすれば、ナチス・ドイツや帝国日本が模索した戦略をとっている。プーチンが世界にロシア包囲網を築かれるなか、習近平はそうした努力をさらに強化していくはずだ。だが、欧米は明確な優位をもっている。それは失敗から学べることだ。(コトキン)

ウクライナでの戦争を欧米と中ロという二つのブロックを対立させる新冷戦の最初の一幕とみなす専門家もいる。かつての冷戦のように、今回も経済体制の違いだけでなく、イデオロギー的な違いもあるとみなし、新冷戦は「民主主義と権威主義、市場経済と国家主導型経済」の闘いと規定している。だが(かつての共産主義ブロックとは違って)現在の中ロは政治体制も経済制度も大きく違っており、一枚岩とはみなせない。豊かなエネルギーや鉱物資源がどれほど魅力的でも、近隣諸国との永遠の争いに明け暮れるモスクワの弱体政権との連帯が、中国の利益になるとは思えない。(ウェスタッド)

ウクライナでの戦争を可能な限り早く、キーウの民主的政府が受け入れる条件で終わらせること、これが欧米にとっての成功の定義だろう。しかし、その条件とは何だろうか。プーチンが選択し、始めた戦争だとしても、もはやプーチンだけでは戦争を終結させることはできない。プーチンとゼレンスキーはともに、敵対行動を停止させるために必要な領土と条件が何であるかを検討し、戦闘の終結を命令するだけでなく、和平協定を締結し、それを尊重できるかどうかも考える必要がある。(ハース)

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