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2022.4.26. Tue

中国が望む世界
―― 秩序の崩壊と再生

ストレスの多い仕事をし、太った喫煙者の習近平は2030年代初頭には、生きていたとしても80代だ。中国の人口危機が本格化し、現在から2030年にかけて生産年齢人口は7000万程度減少し、高齢者人口が1億3000万増えると予測されている。これほど多くの課題に直面している国が、独自の国際秩序を長く維持できるとは考えにくい。だがアメリカが主導する民主的秩序が維持されるという保証もない。2024年の米大統領選挙で憲政危機が起き、アメリカが国内闘争に陥る危険さえある。よくも悪くも、明らかなことが一つある。それは、中国との競争が新しい国際秩序を形成しつつあることだ。(ベックリー)

世界第2位の経済大国である中国が、ライバルが規定した条件で世界秩序に参加するはずはない。特に、2008年のグローバル金融危機以降、中国指導部は、自国の権威主義的統治システムは、自由主義国家に至るプロセスにおける一つの形態ではなく、それ自体が目的地であると明言するようになった。明らかに国際秩序を作り替えることを望んでいる。今後の展開にとっての重要な鍵は、中国が世界における自らの野心を、他国にとってある程度許容できるものにできるかどうかだ。現実には、もっともらしい新世界秩序を作る中国の能力を脅かしているのは、その権威主義体質に他ならない。(ミッター)

2008―09年の世界金融危機以降、中国モデルの正しさが立証されたという思い込みから、北京は自己主張の強い外交戦略をとり始めた。2012年に習近平が中国共産党総書記に就任すると、変化は一気に加速した。北京の政府高官たちが習の指示に従ったのは、出世のためだけではなく、恐怖のせいでもあった。外交官たちは、外務省での「自己批判」の会だけでなく、党に対する忠誠と命令に従う意志が試される「確認合宿」に参加しなければならなかった。こうして現在の北京は、「世界は北京の方針に適応しなければならない」と決めてかかっているかのような言動をみせるようになった。(マーティン)

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