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2022.3.4. Fri

ロシアの影響力拡大と欧州安全保障
―― ロシアがウクライナを支配すれば

ロシアがウクライナを支配するか、この国を広く不安定化に陥れれば、米欧にとって困難な新時代が始まる。ヨーロッパにおけるアメリカの優位は制約され、ヨーロッパは、EUやNATOの中核メンバーしか守れなくなり、加盟国以外の国は孤立する。米欧の指導者たちは、ヨーロッパの安全保障構造の見直しとロシアとの大規模な紛争を回避するという二つの課題に直面し、いずれにおいても、核武装した敵と直接対決するリスクを考慮しなければならなくなる。(フィックス、キメージ)

ロシアによるウクライナ攻撃は、ロシアとヨーロッパの対立を固定化し、重要なパワーを「ロシアと中国」、「アメリカとヨーロッパ」という二つのブロックに区分することで、結局は、中国が激しく反対している冷戦期の安全保障構造が再現されることになる。問題は、中国は(米欧露という)三つのプレイヤーのなかでもっとも弱い国と同盟を結ぶことになることだ。実際、ウクライナに関する危険なゲームをいずれ中国は後悔することになるかもしれない。(ブランシェット 、リン)

「欧米は30年にわたってロシアの正統な利益を無視してきた」。この確信がプーチンの行動を規定している。近隣諸国、旧ワルシャワ条約機構加盟国の主権上の選択を制限するロシアの権利を再び主張し、そうした制約を課すロシアの権利を欧米に認めさせることを彼は決意している。プーチン・ドクトリンは、世界の権威主義政権を擁護し、民主主義国家を弱体化させることも意図している。ソビエト崩壊という結末を覆し、大西洋同盟を分裂させ、冷戦を終結させた地理的解決策を再交渉すること。これがプーチンの包括的な目的だ。(ステント)


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