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2022.3.11. Fri

ウクライナの武装抵抗戦略
―― 占領・抵抗と紛争拡大リスク

ロシアがウクライナの大半を占領すれば、より厄介な事態が引き起こされる。プーチンの目的が国境線の見直しや、現ウクライナ政権の打倒などの大きな計画であれば、武装抵抗運動が起きるのは避けられないからだ。モスクワはすでにウクライナを攻略した後に逮捕するか、暗殺する政治、治安関係者のリストを作成し、一方で傀儡政権を任せる候補となる親ロシア派のリストを作っているとワシントンは主張している。武装抵抗運動の活動が拡大すれば、ベラルーシやカザフスタンなどロシアの軌道内にある諸国も不安定化させ、最終的にそれはロシア国内にも波及するかもしれない。(ロンドン)

2021年秋に反ウクライナ・キャンペーンを開始し、2月にウクライナに侵攻するまで、ロシア市民のプーチン支持率はゆっくりとだが着実に上昇し、11月に63%だった支持率は2月には71%へと、ここ数年のピークに達した。だが、ルーブルが暴落し、ロシアの国際的な孤立が深まるなかで、政府がこのまま幻想を主張し続けるのは難しくなる。プーチンはすでにウクライナを失っている。しかも、ロシアとロシア市民を彼と同じように孤立させてしまった。この戦争の結果、プーチンはロシアも失うのか、それともロシアを自分とともに自滅させるのだろうか。(コレスニコフ)

ロシアがウクライナを支配するか、この国を広く不安定化に陥れれば、米欧にとって困難な新時代が始まる。ヨーロッパにおけるアメリカの優位は制約され、ヨーロッパは、EUやNATOの中核メンバーしか守れなくなり、加盟国以外の国は孤立する。米欧の指導者たちは、ヨーロッパの安全保障構造の見直しとロシアとの大規模な紛争を回避するという二つの課題に直面し、いずれにおいても、核武装した敵と直接対決するリスクを考慮しなければならなくなる。(フィックス、キメージ)

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