Focal Points

2021.10.22. Fri

<11月号プレビュー>
グレーゾーン事態と小さな侵略、国際社会における台湾の役割、気候変動と生物多様性の二重危機

小さな侵略・征服行動の背後には明確な戦略がある。それを取り返すのではなく、仕方がないと侵略された側が諦めるような小さな領土に侵略をとどめれば、あからさまに国を征服しようとした場合に比べて、全面戦争のリスクは大きく低下する。だが実際には、中国による台湾侵攻、封鎖、または空爆のシナリオばかりが想定され、「台湾が実行統治する島々を中国が占領する」という、より可能性の高いシナリオは無視されている。そうした小領土の占領を回避する上でもっとも効果的なのが、(応戦の意図を示す小規模な)トリップワイヤー戦力、特にアメリカのトリップワイヤー戦力を事前配備しておくことだが、そうした戦力が存在しないために、潜在的なホットスポットの多くで米抑止力が不安定化している。(アルトマン)

COVID19パンデミックを経て、共産党政府は、権威主義統治モデルは民主主義のそれ以上に21世紀の要請にうまく適応できるとさらに確信するようになった。力強い民主主義と欧米のスタイルをとりながらも、中国文明の影響を受け、アジアの伝統によって規定されている台湾は、そのプレゼンスと持続的な繁栄を通じて、中国共産党が主張するストーリーへの反証を示すと共にその地域的野心に対する障害を作り出している。・・・中国共産党が突きつける脅威を認識するにつれて、各国は台湾と協力することの価値を理解するべきだろう。台湾が倒れれば、地域的平和と民主的同盟システムにとって壊滅的な事態になる。(蔡英文)

化石燃料に依存し続け、天然資源を貪欲にむさぼり続けた結果、手に負えない気候変動問題がもたらされ、死活的に重要なエコシステムが劣化し、世界の海をゆっくりと死へ向かわせつつある。現状では、各国は自国の必要性に即して行動しているが、グローバルな災害はばらばらの対応では解決できない。各国は、エコロジカルなリアリズムから、共通の地球環境上の脅威に対処していくための協力を政策の中枢に据えなければならない。国家主権がなくなるわけではないが、新しい国際的なアプローチを通じて、政治と自然界の距離を縮める必要がある。(パトリック)

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