Focal Points

2020.7.31 Fri

<8月号プレビュー>
外交的自制をかなぐり捨てた中国、何がアメリカを引き裂いているのか、次のパンデミックに備えるには

北京は事実上すべての外交領域で前例のない外交攻勢に出ている。香港(の民主派)を締め上げ、南シナ海の緊張を高める行動をとり、オーストラリアに対する圧力路線をとっているだけではない。インドとの国境紛争で軍事力を行使し、欧米のリベラルな民主主義への批判をさらに強めている。そこに、かつてのような慎重さはない。世界は、中国の自信に満ちた外交政策がどのようなものか、おそらく、その第1幕を目にしつつある。北京はいまや自国がどう受け止められるか、そのイメージのことをかつてのようには気にしていない。おそらく、力の路線をとることで、ソフトパワーの一部を失うとしても、より多くを得られると計算している。・・・(キャンベル、フーパー)

アメリカにおける階級闘争と人種的分断がいかに相互作用をしているかを把握しない限り、パンデミックのアメリカにおける影響、それを取り巻く政治環境、破壊的な政治ダイナミクスを完全に理解することはできない。新型コロナウイルス感染症による死亡率が、白人よりも、マイノリティの間で際だって高いという事実から考えても、アメリカがシステミックな限界に達しつつあることは明らかだろう。カオスのなかで、アメリカは「暴力的な政治的報い」に遭遇する道のりにあるのかもしれない。米社会は機能不全に陥っており、その社会的断層線を乗り越えるためのツールを必要としている。(チュア)

ワクチンが開発されて利用できるようになるか、多くの人が感染して集団免疫が達成されれば、現在の危機は終わる。しかし、ワクチンであれ、集団免疫であれ、それが短期間で実現することはなく、そこに至るまでの人的・経済的コストはかなりのものになる。しかも、将来における感染症アウトブレイクはより大規模で、致死性も高いはずだ。言い換えれば、現在のパンデミックは、世界のあらゆる疫学者や公衆衛生当局者が悪夢とみなす深刻な感染症(ビッグワン)ではおそらくない。次のパンデミックは、1918年のスペインかぜと同様に壊滅的な「新型インフルエンザウイルス」になる可能性が高い。(オスタホルム、オルシェイカー)

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