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2020.1.8 Wed

中東に迫り来る巨大な嵐
―― 何が起きても不思議はない

中東諸国は、石油の富を安定した雇用、教育、医療に充当し、政治指導者はその見返りに民衆の政治的服従と沈黙を手に入れた。しかし、原油の低価格化トレンドゆえに、これまで政府に政治的正統性を授けてきた資源が消失しつつあり、この社会契約はもはや持続できない。この大きな流れの変化を前にしても、指導者たちが、権力の掌握を強めるだけで、有意義な改革を実施しなければ、中東各国で、かつてない規模の社会騒乱が起きることになる。(ムアシャー)

中東のいかなる地域における衝突も中東全体を紛争に巻き込む引き金になる恐れがある。一つの危機をどうにか封じ込めても、それが無駄な努力になる危険が高まっているのはこのためだ。しかも、国家構造が弱く、非国家アクターが大きな力をもち、数多くの大きな変化が同時多発的に進行している。イスラエルと敵対勢力、イランとサウジ、そしてスンニ派の内部分裂が存在し、これらが交差するだけでなく、ローカルな対立と絡み合っている。(マレー)

モハメッド・ビン・サルマン皇太子は、民間経済の強化を通じて経済を多角化し、石油への依存を軽減するとともに、これまでの社会契約を見直して民衆や世論の支持を重視する路線に転じている。反政治腐敗キャンペーンを利用して王族内の秩序改革も試みている。権力の多くを手中に収めた皇太子が進める改革が長期的にどのような作用をするかは、彼が実際にどのような指導者になるか、反政治腐敗キャンペーンをどのような意図で進めていくかに左右される。・・・(ゴースIII)

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