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2019.3.27 Wed

ナショナリズムとは何か
―― 「われわれと彼ら」の政治学

集団への帰属に関する限り、人類はウガンダの森で殺し合いをしているチンパンジーと大差ない。人が自分の忠誠を国家、肌の色、髪、スポーツチームに求めるのが、硬貨の裏表で勝敗を決めるやり方のように「偶発性」に左右されることを頭で理解しても、集団意識を形作る心理的ベースは変化しない。心のなかで、新しいチームメートが翌日には再び敵になってしまうこともある。(サポルスキー)

ナショナリズムは近代世界における基本原則であり、評論家が認める以上に広く受け入れられている。実際、民主主義、福祉国家、公的教育のような制度にイデオロギー的基盤を提供してきたのはナショナリズムだ。これらのすべてが、目的と相互義務を共有する統合された民衆の名の下に正当化されてきた。新旧の国民国家にとっての課題は、網羅的な連帯を構築、あるいは再構築することで、社会的盟約を刷新することだろう。(ウィマー)

1980年代以降、先進国のエリートたちは、国の民主的体制を国際市場のロジックに適合するように見直し、政策決定を市民への説明責任を負わない官僚や超国家組織に委ねてしまった。これが、欧米で「ポピュリスト・ナショナリズム」を急激に台頭させる環境を作り出した。ナショナリズムジレンマを解くには、国家レベルでの民主的説明責任といった戦後リベラリズムの基本的やり方を復活させなければならない。(スナイダー)

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