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2018.2.20 Tue

人種的奴隷制と白人至上主義
―― アメリカの原罪を問う

肌の色という区別をもつ「人種的奴隷制」は、自由を誇りとする国で矛盾とみなされるどころか、白人の自由を実現した。黒人を社会のピラミッドの最底辺に位置づけることで、白人の階級間意識が抑制されたからだ。もっとも貧しく、もっとも社会に不満を抱く白人よりもさらに下に、常に大きな集団がいなければ、白人の結束は続かなかっただろう。奴隷制の遺産に向き合っていくには、白人至上主義にも対処していかなければならない。(ゴードン=リード)

1960年代以降の半世紀に及ぶアメリカの「貧困との闘い」は、公的債務を膨らませ、社会保障依存を引き起こしただけだった。この状況にグローバル金融危機が追い打ちをかけ、怒りと幻滅が広がり、ポピュリズムが台頭した。いまや、そこにあるのは二つのアメリカだ。社会階層による文化の違いが、非常に大きな問題を作り出している。貧困層の自己尊厳の喪失という問題を適切に理解して初めて、この国の指導者は人々が負った心の傷を癒す文化的・政治的アジェンダを特定できるようになるだろう。(ブルックス)

テクノロジーと金融経済の進化は、東海岸や西海岸における都市の経済的・社会的バイタリティーを高めたが、製造業に支えられてきた南部と中西部にはみるべき恩恵はなかった。南部と中西部の「成長から取り残された」人々のなかには、白人ナショナリズムに傾倒する者もいた。トランプはまさにこの空白に切り込み、支持を集めた。民主党か共和党のどちらか(または両方)が、貧しい白人労働者階級が直面する問題に対処する方法を見つけるまで、トランプ現象は続くだろう。(カーウィー)

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