Focal Points

Sakarin Sawasdinaka/shutterstock.com

2016.08.09 Tue

重要なのはGDPではなく、
生活レベルだ
―― 資本主義の危機と社会保障

GDP(国内総生産)はデジタルの時代の経済を判断する適切な指標ではない。・・・GDPに議論を依存するあまり、世界的に生活コストが低下していることが無視されている。生活に不可欠な財やサービスの価格が低下すれば、賃金レベルが停滞しても、生活レベルを維持するか、向上させることができる。デフレと低需要は成長を抑え込むかもしれないが、それが必ずしも繁栄を損なうとは限らない。これを、身をもって理解しているのが日本だ。世界は「成長の限界」に達しつつあるかもしれないが、依然として繁栄の限界は視野に入ってきていない。(カラベル)

いまや政府は戦後の税金を前提とする国家から、債務を前提とする国家へと変貌している。この変化は非常に大きな政治的帰結を伴った。政府債務の増大によって、国際資本が、各国の市民の望みを潰してでも、自分たちの意向を各国政府に強要する影響力をもつようになったからだ。こうして格差が拡大し、賃金が停滞する一方で、政府は、資金力豊かな金融機関が問題の兆候を示しただけで救済の対象にするようになった。こうして市民たちは、いわゆる調整コストを運命として受け入れるのを次第に嫌がるようになった。・・・(ブリス)

資本主義は人々に恩恵をもたらすだけでなく、不安も生み出すために、これまでも資本主義の進展は常に人々の抵抗を伴ってきた。実際、資本主義社会の政治と制度の歴史は、この不安を和らげるクッションを作り出す歴史だった。資本主義と民主主義が調和して共存できるようになったのは、20世紀半ばに近代的な福祉国家が誕生してからだ。   (ミューラー)

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