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2016.06.07 Tue
ドナルド・トランプの内政と外交
――2016年のアメリカ政治を予測する
ドナルド・トランプとバーニー・サンダースという2人の大統領候補はアメリカ社会のムードとアメリカ人が何を望んでいるかについておおむね適切に理解している。現在のアメリカ人は、終わりのない外国での戦争にうんざりし、格差に苛立ち、ビジネス・政治エリートに不信感をもっている。貿易を敵視し、対外介入を嫌がっている。・・・いずれにせよ、2016年のアメリカの政治を特有なものにしているトレンドが、近い将来に終わることはなく、むしろ現状はその入り口であることを認識する必要がある。(フォンテーヌ、カプラン)
それがどこであれ、格差が社会に怒りを充満させる環境のなかでは、デマゴーグたちは、感情と偏見を煽ることで、非現実的で危険な政策の支持へと民衆を向かわせる。そうでなくとも、アメリカの有権者の多くが政治に裏切られ、無視され、取り残されていると感じている。これはラテンアメリカの政治環境と似ている。この地域の独裁的指導者(カウディーリョ)たちは、ヒトラーやムッソリーニ、あるいは、イタリアのベルルスコーニ以上に、トランプ現象を考える上での適切な比較の対象になる。・・・(エンカーナシオン)
「ジョージ・W・ブッシュ政権が残した(中東における)負の遺産を清算すること」を自らの中東における任務に掲げたオバマも、結局は負の遺産を次期米大統領に委ねることになりそうだ。シリア紛争への関与を躊躇い、イランとの核合意を模索したことで、サウジとアメリカの関係は極度に冷え込み、サウジでは、オバマは近年における「最悪の米大統領」と呼ばれることも多い。次期大統領候補たちはどうだろうか。・・・(ナゼル)
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バーニー、トランプ効果と次期大統領
―― アメリカの貿易政策と外交はどう変化するか(先行公開)2016年7月号 リチャード・フォンテーヌ/センターフォーアメリカンセキュリティ 会長、ロバート・D・カプラン/センターフォーアメリカンセキュリティ シニアフェロー
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ドナルド・トランプの台頭
―― ラテンアメリカ化するアメリカ政治2016年6月号 オマー・G・エンカーナシオン/ バードカレッジ教授(政治学)
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サウジと米大統領選挙
―― クリントン、トランプ、リヤド2016年5月号 ファハド・ナゼル JTG 政治分析者
6月号プレビュー
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非伝統的金融政策の悪夢
―― なぜ危険が待ち構えているか量的緩和と極端な低金利政策が経済にダメージを与えかねない大きな金融リスクを作り出していることはいまや明らかだろう。これらの政策によって、株式、格付けの低い債券、民間不動産の価格が押し上げられ、結局、資産バブル崩壊の伏線が創り出されつつある。
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ギャンブラーとしてのプーチン
―― ロシアのクリミア編入プロセスを検証する問題は、クリミアへの介入と編入が、プーチンが管理可能な脅威をめぐってさえ過大な戦略リスクを引き受けるようになったことを象徴していることだ。ウクライナであれ、シリアであれ、プーチンは危機に大胆かつ衝動的に対応することで、ロシアと世界に新たな危機を作り出している。
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クリーンエネルギー投資の強化を
―― 温室効果ガスの削減では惨劇を回避できないクリーンエネルギー技術が大きく進化しない限り、各国が現在の温室効果ガス排出量削減の約束を実行しても、おそらく地球の温度は2・7―3・5度、上昇する。この場合、(異常気象の激化や海面水位の上昇による水没など)グローバルレベルで惨劇に直面するリスクがある。