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2016.03.28 Mon
ユーラシアに迫り来るアナキー
―― ユーラシアのカオスと中ロの
対外強硬路線
クレムリンでのクーデター、ロシアの部分的解体、中国西部でのイスラムテロ、北京における派閥抗争、中央アジアの政治的混乱など、ワシントンは、カオスの到来に備えるべきだ。冷戦、ポスト冷戦という比較的穏やかな時代は過ぎ去り、ユーラシアの解体に伴うアナキーに派生する長期的な大国間紛争の時代に備えるべきだろう。(カプラン)
プーチンは、ユーラシア経済連合構想でEUに対抗しようとしている。だが、ロシアとの対立にばかり気をとられていると、思わぬ伏兵・中国に足をすくわれることになる。海と陸のシルクロード構想を通じて、ユーラシアを影響圏に組み込もうと試みる中国はすでに東ヨーロッパでのプレゼンスを高めることに成功している。(クラステフ/レナード)
ヨーロッパは2012年に起きたような、需要のピーク時に深刻な天然ガス供給不足に陥るといった事態を回避するためにも、新たな天然ガスの供給を確保したいと考えている。アメリカの中央アジアへの関心が希薄になっているとしても、ヨーロッパは旧ソビエト圏での影響力を形作ることを諦めるべきではない。(シャファー)
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ユーラシアに迫り来るアナキー
―― ユーラシアのカオスと中ロの対外強硬路線2016年3月号 ロバート・カプラン ニューアメリカン・セキュリティセンター シニアフェロー
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ユーラシアで進行する露欧中の戦略地政学
―― 突き崩されたヨーロッパモデルの優位2015年5月号 アイバン・クラステフ ルーマニア自由戦略センター所長/ マーク・レナード ヨーロッパ外交評議会理事
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カスピ海資源をめぐるロシアとの攻防
―― シャーデニス・ガス田の地政学2014年2月号 ブレンダ・シャファー ジョージタウン大学ユーラシア大陸・ロシア・ 東ヨーロッパセンター(CERES)客員研究員
2016年 3月号から
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中国経済のメルトダウンは近い
―― 中国経済はまったく成長していない中国経済の成長率は3%かそれを下回っているかもしれない。そして政府の赤字財政支出は、実際には間違いなくGDPの3%を超えている。つまり、中国の実体経済はおそらくまったく成長していないかもしれないし・・・いまや中国経済を動かしているのは政府支出だけだと考えてもおかしくない。
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東南アジアとイスラム国
―― アジアのジハード主義とイスラム国だが本当の危険は、イスラム国の出現によって、インドネシア国内のジハード主義集団や過激派のネットワークに、フィリピンやマレーシアの過激派が参加し、さらなる社会暴力が引き起こされることだろう。
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長期停滞を恐れるな
―― 重要なのはGDPではなく、生活レベルだデフレと低需要は成長を抑え込むかもしれないが、それが必ずしも繁栄を損なうとは限らない。これを、身をもって理解しているのが日本だ。世界は「成長の限界」に達しつつあるかもしれないが、依然として繁栄の限界は視野に入ってきていない。