CFRインタビュー
イラクをめぐるアメリカとアラブの同床異夢?
2007年8月号

イラクの政治的安定化は、憲法改正、石油からの歳入の分配などの重要案件をめぐる意思決定の場に、イラクのスンニ派指導者が参加するかしないかで左右される。ワシントンは、サウジアラビアなどのアラブのスンニ派諸国が、イラクのスンニ派勢力に対して、「イラクの意思決定に参加して、シーア派と和解するように」と働きかけることを望んでいる。だが、「そうしたアメリカの期待にスンニ派諸国の指導者が応じる可能性は低い」と中東政治の専門家、タマラ・コフマン・ウィッテスは指摘する。シーア派主導の体制がイラクで確立されることをひどく警戒しているスンニ派アラブ国家は、そのリスク回避策として、イラクのスンニ派勢力のなかでも、シーア派主導の政府にもっとも強い抵抗をしている勢力を支援してきた経緯を持っている、と。だが、アメリカはそうしたスンニ派諸国に武器売却を認め、同盟関係を強化しようとしている。イラクの混乱、イランの強大化、そして、パレスチナが分裂するなかでの中東和平構想の浮上と、状況が錯綜するなかで、アメリカはなぜスンニ派諸国との関係を強化しようとしているのか。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。