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まかり通る不正とポリクライシス
―― インピュニティで世界を捉えると

デービッド・ミリバンド 元イギリス外相

Crime and No Punishment: How Impunity Fosters Instability

David Miliband 元英外相(2007ー2010年)。ジ・アトラス・オブ・インピュニティの共同議長および NPO国際救済委員会(IRF)の理事長兼CEO。

2023年4月号掲載論文

ロシアのウクライナ戦争から世界的な食糧不足、気候変動に至るまでの、多層的な脅威を前に、いまや「ポリクライシス(複合危機)」という表現をよく耳にする。問題の一つは、インピュニティ(不正が咎められないこと)が、現在のグローバルな危険を拡大させ、その余波があらゆる人に及んでいることだ。そして、ポリクライシスの原因と対応を考えるとき、民主主義対独裁主義、北対南、右対左といった対立構図の議論はあまり役に立たない。むしろ、グローバルな課題を、民主主義と独裁主義の闘いではなく、「インピュニティ」対「説明責任」の闘いとして位置づけ直せば、グローバルな聴衆に対して、問題をもっと包括的に語りかけることができる。インピュニティの指標には、紛争と暴力、人権侵害、説明責任を果たさない統治、経済的搾取、環境破壊という五つの指標がある。

  • 咎められない不正とポリクライシス
  • 不正な権力がまかり通る時代
  • なぜ民主主義は後退しているか
  • 説明責任のない権力

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