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アメリカなき民主世界
―― 民主的後退の世界的帰結

ラリー・ダイアモンド フーバー研究所 シニアフェロー

A World Without American Democracy? The Global Consequences of the United States’ Democratic Backsliding

Larry Diamond アメリカの政治学者でフーバー研究所のシニアフェロー。スタンフォード大学 のフリーマン・スポグリ 国際問題研究所のシニアフェローも兼務。最近の著書にIll Winds: Saving Democracy from Russian Rage, Chinese Ambition, and American Complacencyがある。フォーリン・アフェアーズでは、「バイデン政権で民主主義は再生するか―― トランプと民主主義の危機」(2020年11月号)などを発表している。

2021年8月号掲載論文

トランプは共和党を彼に忠実なだけでなく、民主主義に敵対する組織として再編している。この流れのなか、開票と投票結果の認定を含む独立した選挙管理体制を覆そうとする法律の制定が試みられている。この試みが成功すれば、アメリカは「自由で公正な選挙のための最低限の条件を満たせない」史上初の先進民主国家になる。民主主義の失敗による壊滅的ダメージの余波にさらされるのはアメリカだけではない。それは深刻なグローバルな帰結を伴う。パワフルな国家には、模範であれ、悪例であれ、影響力があるからだ。トランプ政権期に、民主的不況が民主的世界恐慌へ悪化したのも、まさにこのためだ。アメリカの民主主義に何が起きるかが、世界中の民主主義の運命を決めることになる。

  • 民主的後退
  • 民主主義を支える三つの柱
  • 脅かされる開票システムの信頼性
  • 大きくなる嵐

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