Yalcin Sonat / Shutterstock.com

CFR Briefing
ワクチンの夢とロシアの現実
―― なぜロシアはワクチン開発を急いだか

ジュディ・トゥイッグ  バージニアコモンウェルス大学政治学教授

Vaccine Dreams and Russian Reality

Judy Twigg アメリカの政治学者。 バージニアコモンウェルス大学政治学教授。専門はグローバルヘルス、ロシア政治など。

2020年9月号掲載論文

ロシア政府は、8月にCOVID19ワクチンの開発に成功し、規制当局がスプートニクVワクチンの使用許可を出したと発表した。欧米メディアは、ワクチン開発を急ぐあまり、ロシアは標準的承認プロセスの重要部分をバイパスしているのではないかと心配している。もっとも、ロシアのワクチン戦略の背後にある政治的インセンティブを理解するのは難しくない。30年前にソビエト崩壊の屈辱にまみれて以降、卓越した大国としての地位を回復するための道筋を模索してきたロシアにとって、100年に一度のパンデミックを克服するワクチンを、特にラテンアメリカやアフリカの低所得国や中所得国をウイルスが襲い始めた段階で提供できれば、1 年前には想像さえできなかった形でロシアの名声を高めることができる。しかし、そのワクチンが宣伝どおりに機能しなければ、内外で名声が失墜するし、その痛手は相当に大きなものになる。プーチンの「スプートニクの瞬間」が科学への信頼を侵食し、ロシア人の生命を奪う、広報上の勇み足であることが明らかになるとすれば、それは悲劇としか言いようがない。

  • 世界初のワクチン?
  • 「スプートニクワクチン」と政治
  • ワクチンが効かなければ

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

(C) Copyright 2020 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

Page Top