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中国は超大国にはなれない
―― 米中逆転があり得ない理由

スティーブン・G・ブルックス/ダートマス大学准教授
ウィリアム・C・ウォルフォース/ダートマス大学教授

The Once and Future Superpower
―― Why China Won't Overtake the United States

Stephen G. Brooks ダートマス大学准教授。フォーリン・アフェアーズにはこれまでに、ウィリアム・C・ウォルフォースとの共同論文「アメリカ衰退論は間違っている―ワシントンは国際システムの改革を主導せよ」を発表している。
William C. Wohlforth ダートマス大学教授。

2016年7月号掲載論文

いまや問題は「中国が超大国になるかどうかではなく、いつ超大国になるかだ」と考える人もいる。確かに中国は、真にアメリカに匹敵する大国になるポテンシャルをもつ唯一の国だが、技術的な遅れという致命的な欠陥を抱えている。一方、アメリカの経済的優位はかつてほど傑出してはいないが、その軍事的優位に変化はなく、現在の国際秩序の中核をなす世界的な同盟関係にも変化はない。近代史で特筆すべき成長を遂げた新興国のほとんどは、経済よりも軍事面で強力だったが、中国は軍事面よりも経済面でパワフルな存在として台頭している。経済規模が巨大なだけでは、世界の超大国にはなれないし、必要な技術力の獲得という、次の大きなハードルを越えることもできない。しかもその先には、こうした資源を活用して、グローバルな軍事力行使に必要なシステムを構築し、その使い方をマスターしていくというハードルが待ち受けている。要するに、多くの人は中国の台頭に過剰反応を示している。むしろ、アメリカの超大国としての地位を脅かす最大の脅威は国内にある。

  • 中国へのパワーシフト?
  • 中国の技術的後発性
  • GDPの弊害と「包括的な豊かさ」
  • 米中軍事ギャップの実態
  • 中国の限界とアメリカの役割
  • エンゲージメント戦略の維持を
  • 屈してはならない四つの誘惑とは
  • 最大の脅威は国内にある

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