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日本の新しいビジネス文化
―― 日本の起業家世代と社会貢献

デヴィン・スチュワート カーネギー国際関係倫理委員会シニアフェロー

Tokyo's Ambition Generation
――  Entrepreneurs and Japan's New Business Culture

Devin Stewart カーネギー国際関係倫理委員会シニアフェロー。

2016年4月号掲載論文

日本政府の高官たちも、経済再生の柱としての量的緩和と財政出動によってかろうじて成長が支えられていることに気づき始め、新戦略では「スタートアップ企業」が重視されている。ベンチャー企業と新技術への投資を奨励し、大学におけるアントレプレナーシップ(起業精神)の訓練と教育を支援し、シリコンバレーのアントレプレナー(起業家)と日本のアントレプレナーたちをセミナーやメンターシップ・プログラムを通じて結びつけようとしている。もちろん、日本の新企業に投資されたベンチャーキャピタル資金はわずか約10億ドルで、同年のアメリカのスタートアップに投資された590億ドルと比べると依然として大きく見劣りする。しかし、日本の企業文化のなかで次第にスタートアップ企業が受け入れられ始め、起業家の社会的な地位も高まっている。「いまや優秀な学生たちはグーグル、マッキンゼー、そしてスタートアップ企業に就職したいと考えている」

  • 総活躍社会と起業
  • なぜ日本にユニコーン企業がないか
  • シリコンバレーと日本
  • ビジネスと哲学
  • 利益と社会貢献

<総活躍社会と起業>

経済の先行きが見えないことが日本企業を苦しめている。大企業も賃上げや投資を躊躇っている。2008―09年の金融危機とその後のリセッションの記憶に付きまとわれ、国内市場が縮小しているからだ。シャープやソニーといった日本のテクノロジー系企業の一部は、アメリカ、中国、韓国のライバル企業との競争に苦戦している。日本政府の高官たちも、経済再生の柱としての量的緩和と財政出動によってかろうじて成長が支えられていることに気づき始めている。

このような状況を前に、日本の政策立案者たちも、停滞する日本経済を活気づけるにはビジネス・ダイナミクスを刺激する必要があると考えるようになった。

安倍政権の2015―16年の経済政策は「すべての市民がダイナミックに活躍する社会」を目指している。政権が言う、「一億総活躍社会」とは、これまで中年男性が主流だった経済に女性、若者、高齢者が積極的に参加していくことを想定している。・・・

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