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ロシアの介入で変化したシリア紛争の構図
―― 内戦からグレートゲームへ

アンドリュー・タブラー ワシントン近東政策研究所 シニアフェロー

The Not-So-Great Game in Syria

Andrew Tabler  ワシントン近東政策研究所のシニアフェロー。専門は、レバノン、シリア、アラブの政治。アメリカのシリア政策など。最近の著書にLion’s Den: An Eyewitness Account of Washington’s Battle with Syriaがある。

2016年1月号掲載論文

バッシャール・アサド政権を支援することが、ロシアのシリア介入の目的だと当初は考えられていたが、それだけではないこともわかってきた。イランの影響下にある地上部隊と連携してアレッポ近郊をロシア軍が空爆した証拠が出てきているからだ。ロシアとイランが支援する地上部隊の連携作戦は、シリア北部におけるトルコや湾岸諸国の実質的勢力圏と正面から衝突している。実際、ロシア軍は度重なるトルコ領空の侵犯を通じて、シリア北部に関与する意図をトルコにみせつけている。ロシアがもっとも重視するターゲットには、アメリカが支援してきた穏健派反体制グループ、トルコが支援してきたイスラム主義勢力も含まれている。こう考えると、今やシリアではグレートゲームが展開されている。ロシアが介入する前は、シリアはボスニアかソマリアへの道を歩みつつあるかにみえたが、今やグレートゲームの舞台となった19世紀のアフガニスタンへの道を歩みつつある。・・

  • イランとロシアの連携
  • 泥沼にはまり込んだロシア
  • 政権移行と「アサド問題」
  • グレートゲームは続く

<イランとロシアの連携>

2015年9月末以降、ロシアは、シリアへの軍事介入を続けることで中東へと舞い戻り、シリアと中東の中核地域におけるグレートゲームに参入している。バッシャール・アサド政権を支援することが、ロシアの一方的な軍事介入の目的だと当初は考えられていたが、それだけではないこともわかってきた。イランの影響下にある地上部隊と連携してアレッポ近郊をロシア軍が空爆した証拠が出てきているからだ。すでに2015年6月にイランの革命防衛隊(クッズ部隊)の指導者、カセム・スレイマニはモスクワを訪問しており、これは、イランとロシアの合同軍事介入計画が存在することを思わせる。・・・

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