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イスラム国の大きな過ち
―― グローバルテロ戦略の弊害

ダニエル・バイマン ジョージタウン大学教授

ISIS's Big Mistake

Daniel Byman ジョージタウン大学教授・ブルッキングス研究所中東政策センター シニアフェロー。最近の著作にAl Qaeda, the Islamic States, and the Global Jihadist Movement: What Everyone Need to Know がある。

2015年12月号掲載論文

パリの同時多発テロから、厄介なシナリオがみえてくる。それは、イスラム国がこれまでの地域重視戦略を見直し、グローバルテロ戦略へとシフトしつつあるかもしれないことだ。グローバルテロ戦略をとれば、戦士のリクルートもうまく進む。数多くの外国人メンバーを抱えているだけに、イスラム国はグローバルテロ戦略をとる資産をもっているともみなせる。だがその副作用も大きい。世界的にテロを展開するには組織の指揮統制を緩め、ローカルなテロ分子に行動の自由を与えるしかない。司令塔をもたないテロの場合、ターゲットを間違え、残忍な殺戮を行うようになることも多い。実際、こうした関連組織の暴走ゆえに、世界のイスラム教徒がアルカイダに背を向けるようになったことは広く知られている。世界はさらに忌まわしいテロが起きることを警戒すべきだが、イスラム国がグローバルテロ戦略へシフトしているとすれば、最終的に大きなコストを支払わされることになるだろう。

  • パリにおけるテロの特異性
  • グローバル戦略の恩恵
  • そのリスク

<パリにおけるテロの特異性>

2015年11月にパリで起きた同時多発テロの最初のリポートから、厄介なシナリオがみえてくる。イスラム国はこれまでの地域重視戦略を見直し、グローバルテロ戦略へとシフトしつつあるのかもしれない。もちろん、これまでもイスラム国はアメリカを敵視してきたわけで、多くの人はこれを「特に目新しい展開ではない」と思うかもしれない。だが現実には、これまでイスラム国は地域的でローカルな作戦に焦点を合わせてきた。

この集団が大きな注目を集めたのは、イラクとシリアのかなりの領土を攻略して支配下に置いた2014年だが、実際には、少なくとも2004年以降、「イラクのアルカイダ」、「イラクとレバントのイスラム国」、「イラクとシリアのイスラム国」など、現在とは違う名称で活動を続けてきた。・・・

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