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それでも日本の平和主義は続く
―― 市民の平和主義へのこだわり

フランツ=ステファン・ガディ 東西センター シニアフェロー

Japan at Peace

2015年10月号掲載論文

安倍首相の意図が何であれ、日本の軍国主義は1945年8月に葬りさられている。戦後の日本人は軍人を蔑むようになり、かつての軍の指導者たちだけでなく、350万の元兵士たちにも、冷たい視線が注がれるようになった。日本軍は戦争に敗れただけでなく、社会的蔑視の対象にされた。戦後の日本人がかつての軍部と軍人に対して抱いた不信感はいまもなくなっていない。自衛隊が社会的に評価されているとすれば、この組織が災害復興の任務を引き受けているからで、多くの人は日本の安全保障に貢献しているのは、自衛隊よりも、日米安全保障条約だと考えている。仮に日本の軍事化が一気に進むとすれば、駐留米軍の撤退や北朝鮮による核攻撃など、東アジアの安全保障構造が大きく変化した場合だけだが、これが現実になる可能性は殆どない。日本の軍国主義に関するあらゆる議論にも関わらず、「平和国家としての日本」は今後も続くだろう。

  • 平和国家と安倍政権
  • 「敗北のスーツ」
  • 自衛隊に人々は何を期待しているか
  • 平和主義国家としての日本

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