Domenico Fornas / Shutterstock.com

キッシンジャーの歴史的意味合い
―― なぜ彼はリアリストと誤解されたか

ニーアル・ファーガソン ハーバード大学教授(歴史学)

The Meaning of Kissinger

Niall Ferguson イギリス人の歴史家で、現在はハーバード大学歴史学教授。オックスフォード大学のフェロー、フーバー研究所のシニアフェローも兼務。著作にThe Ascent of Money: A Financial History of The World.がある。

2015年10月号掲載論文

キッシンジャーは広く「リアリスト」だと考えられている。だが、彼は外交キャリアの初期段階から、理想主義者として活動してきた。確かに、彼はウッドロー・ウィルソンのような理想主義者ではないが、リアリストでもない。哲学的な意味では間違いなく理想主義者だった。キッシンジャーが重視したのは、ライバルや同盟国との関係を理解する上で歴史が重要であること。外交政策決定の多くは不毛の選択肢のなかから、ましな選択をすることに他ならないこと。そして、指導者たちが、道徳的な空虚なリアリズムに陥らないように心がけなければならないことだった。1968年末同様に、深刻な戦略的混乱のなかにある現在、ワシントンはキッシンジャー流の外交アプローチを切実に必要としている。しかし、まず政策決定者そして市民は、「キッシンジャーの意味合い」を正確に理解する必要がある。

  • 彼はリアリストではない
  • 歴史が国家を形作る
  • 政策決定における推定
  • よりましな悪魔
  • リアリズムの幻想
  • 1970年代と現在

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

(C) Copyright 2015 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

Page Top