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欧米はロシアへの約束を破ったのか
―― NATO東方不拡大の約束は存在した

ジョシュア・R・I・シフリンソン  テキサスA&M大学准教授

Put it in Writing

Joshua R. Itzkowitz Shifrinson テキサスA&M大学准教授。ハーバード大学ベルファーセンター国際安全保障プログラム・アソシエートなどを経て現職。専門は外交史、戦略など。

2014年12月号掲載論文

「NATOゾーンの拡大は受け入れられない」と主張するゴルバチョフ大統領に、ベーカー米国務長官は「われわれも同じ立場だ」と応えた。公開された国務省の会議録によれば、ベーカーはソビエトに対して「NATOの管轄地域、あるいは戦力が東方へと拡大することはない」と明確な保証を与えている。この意味ではNATOを東方に拡大させないという約束は明らかに存在した。約束は文書化されなかったが、東西ドイツは統合し、ソビエトは戦力を引き揚げ、NATOは現状を維持する。これが当時の了解だった。ドイツ統一に合意すれば欧米は(NATOの東方拡大を)自制するとモスクワが考えたとしても無理はなかった。しかし、「ワシントンは二枚舌を使ったという点で有罪であり、したがって、モスクワのウクライナにおける最近の行動も正当化される」と考えるのは論理の飛躍がある。・・・・

  • 東方不拡大の約束は存在したか
  • ベルリンの壁崩壊と米ソの取引
  • 解釈の余地はあるか
  • ロシアの懸念をいかに緩和するか

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